観光庁2021年度予算、コロナ対策は「事項要求」に 

  • 2020年10月7日

継続事業167億円、旅客税290億円要求

 観光庁は9月25日、2021年度予算の概算要求を発表した。事業ごとの要求額を明示したのは、継続事業などの167億6千万円の部分だけで、新型コロナウイルスの対策事業は、施策の項目のみとして要求額を示さない「事項要求」とした。事項要求の施策には、新たな旅のスタイルの普及・促進、デジタル化推進によるサービス変革などの方向性を掲げ、感染症の状況や観光需要の動向を考慮しながら年末に向けて事業や予算額などを具体化する。国際観光旅客税を財源とする施策には、税収の減少を見越し、20年度の約6割となる290億円を要求した。

 各省から財務当局への21年度予算の概算要求は、コロナ禍を受けて異例の手順となった。例年より要求期限が1カ月遅れとなったほか、コロナ対策などでは予算額を示さない事項要求も認められた。コロナ対策の経費は要求額に上限を設けなかったが、継続事業などの経費は基本的に前年度と同額の提示を求める方針が示されていた。

■再生と新展開

 事項要求のコロナ対策事業には、「観光の再生と新たな展開」と題した施策として、(1)働き方改革とも合致した「新たな旅のスタイル」の普及・促進(2)DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による観光サービスの変革と観光需要の創出(3)宿泊施設を核とした地域における新たな観光ビジネス展開支援―の方向性を打ち出した。

 新たな旅のスタイルの普及・促進では、ワーケーションやサテライトオフィス、ブレジャー(出張先で滞在を延長するなどして楽しむ余暇)など、感染リスクの低減や需要の平準化につながる旅行環境を創出する。送り手の民間企業と受け手の地域を対象としたモデル事業や、旅行商品の造成支援事業などを行う。

 DXの推進によるサービス変革などでは、5GやGPS、顔認証などのデジタル技術を活用した観光資源の磨き上げや観光サービスの提供を促進する。観光地域のマネジメントにも、旅行者の予約、購買、行動などに関するビッグデータの活用を促す。オンラインツアーを通じた来訪意欲の喚起などにも取り組む。

 宿泊施設を核とした地域におけるビジネス展開では、個々の宿泊施設または事業者が連携した地域を対象に、魅力向上を後押しする補助事業やモデル事業などを実施する。宿泊施設に対しては、3密を回避する客室への改修、非接触型チェックインシステムや混雑状況を表示する機器の導入、ワーケーションの受け入れ態勢整備などを支援。地域に対しては、複数の宿泊施設による飲食施設の共同利用、宿泊施設や旅行会社、交通事業者の連携によるオプショナルツアーの提供などを支援する。

■訪日再開見据え

 個々の施策の要求額を明示している継続事業では、20年度当初予算比2%減の167億6千万円を要求した。インバウンドの再開を見据え、訪日プロモーション、訪日外国人旅行者の受け入れ環境整備などの施策を推進する。

 内訳は、コロナの流行収束や国際的な人の往来の再開などを見据えながら実施する戦略的な訪日プロモーションの実施(JNTO運営費交付金)に83億円、宿泊施設や交通事業者、観光案内所などに補助金を交付する訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業に56億2千万円、DMOを中核とした観光地域づくりを総合的に後押しする広域周遊観光促進のための観光地域支援事業には7億6千万円など。

 このほかに東日本大震災の復興枠として復興庁の予算に計上され、観光庁が執行する東北の観光復興事業として、福島県における観光関連復興支援事業に20年度当初予算と同額の3億円を要求。20年度まで実施されてきた東北観光復興対策交付金、JNTOによる東北観光復興プロモーションについては新たな予算は要求しなかった。

■税収減見込む

 国際観光旅客税を財源とした施策の予算は、20年度当初予算の510億6千万円に対し、21年度の要求額が43%減の290億円。観光庁が一括して予算要求するが、観光庁の施策だけでなく、出入国や通関、国立公園、文化財などにかかわる他の省庁の観光施策にも予算配分される予定。

 国際観光旅客税は、訪日外国人、出国日本人を問わず、出国1回ごとに千円を徴収する。観光庁は、要求額の根拠に前年度の出国者数を用いてきたが、21年度概算要求では、実績を踏まえながらもコロナ禍の影響を反映させるため、19年8月から20年7月までの出国者数を基礎にした。

 要求額290億円の使途は、制度上、国際観光の振興に関する経費に限られるが、例年、要求段階では具体的な施策についてはあえて定めず、年末までに政府の観光戦略実行推進会議で民間有識者の意見なども参考にしながら検討される。

 
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