持続可能な地域づくりも
観光庁は3月24日、「ポストコロナ時代における観光人材育成ガイドライン」を策定した。コロナ禍を経て社会情勢が大きく変化する中、観光産業の高付加価値化を進め、持続可能な観光地域づくりを担う人材を育成するため、宿泊業などの「観光産業人材」と、「観光地経営人材」に分けて求められる知識や技能を示した。観光人材の育成は、地域の関係者による自主的な取り組みが不可欠とした上で、自治体やDMO(観光地域づくり法人)、事業者、教育機関、国がそれぞれに果たすべき役割も整理した。
ガイドラインの策定に向けて観光庁は、2022年9月に「ポストコロナ時代を支える観光人材育成に向けた産学連携協議会」(座長・若林直樹京都大学経営管理大学院教授)を設置し、観光人材の育成の在り方について検討した。今後は、ガイドラインに沿って各地域が主体的に行う教育プログラムの開発などを支援する。
ガイドラインの概要は次の通りとなる。
観光産業人材
観光産業人材は、経営者・経営層などの「トップ人材」と、現場の実務人材とトップ人材の間に位置する「中核人材」に分けて考えている。観光庁は、2010年に「観光経営マネジメント人材」育成のためのカリキュラムモデルを策定。その成果としてトップ人材では、京都大学、一橋大学で観光MBAの教育プログラムが展開され、中核人材では、全国の大学を拠点にリカレント教育講座が展開されている。
ただ、観光MBAにおける課題では、サービスやコンテンツづくりなどのマイクロ・マネジメントを好む傾向が強く、経営戦略の立案や経営改革などのマクロ・マネジメントに対して消極的で戦略思考を伸ばし切れていないと指摘。基礎科目はMBA(経営管理修士)の講座となるため、経営一般論にとどまる傾向も見られ、ビジネスにどのように適用するかなど、観光経営に、より焦点を当てた教育プログラムが望まれるとしている。
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