観光庁の井手憲文長官は9日、今月1日の長官就任に伴いメッセージを発表した。国内観光、訪日観光の振興では東日本大震災の影響を踏まえ、旅行需要の本格的な回復に向けて施策を強化する考えを強調。観光振興の意義では「少子高齢化とともに、沈滞ムードに陥りがちな日本社会において、観光は『坂の上の雲』を目指して頑張ることのできる成長分野だ」と述べ、観光立国の実現に努力する決意を表明した。
井手長官は、国内旅行の現状に関して「観光客中心の宿泊施設はまだ厳しい状況が続いているなど、震災後の落ち込みから完全に回復したわけではない」、訪日外国人旅行についても「さらに対策を強化する必要がある」と指摘。東北観光博の推進や海外市場への施策などを通じて国内外の旅行需要の回復を目指す考えを示した。
震災からの需要回復のほかにも、観光に関する諸外国との誘致競争の激化、旅行に出掛けない層の増加などを課題に挙げ、今年3月に閣議決定された新しい観光立国推進基本計画の遂行に注力する姿勢を示した。
また、観光産業を国の成長分野と位置づけた上で、「日本の観光にとって大変重要な時期に観光庁長官に任じられた重責に心をいたし、関係各位のご協力を賜りながら観光立国の実現に向けてまい進していく」と述べた。