観光庁は、2018年度予算の概算要求で、予算額を示さない「事項要求」として、国の観光施策の追加的な財源の確保を盛り込んだ。出入国に際して旅行者から税や手数料を徴収している諸外国の事例などを参考に具体的な手法の検討を進める。
訪日外国人旅行者数の政府目標、20年に4千万人、30年に6千万人などを踏まえ、観光庁は、増加する旅行需要に対応した高度な観光施策を実施するには財源が必要と指摘。「受益と負担の適正なあり方や訪日旅行需要への影響を勘案しつつ、諸外国の取り組みも参考に検討を行う」と要求事項に掲げた。
観光庁の当初予算は、震災復興の予算を別にすると、近年は100億円前後で推移してきたが、長期的な目標を掲げた政府の「明日の日本を支える観光ビジョン」(16年3月策定)を踏まえて、16年度に初めて200億円を超えた。16年の訪日外国人旅行者数が2千万人を突破すると、17年度当初予算は210億4千万円になった。18年度予算も247億2千万円を要求するなど、予算の確保が課題となっている。
財源確保の具体的な手法、導入時期の目標などは明示していないが、観光庁総務課の吉田誠企画官は「諸外国の取り組みを参考にするとともに、有識者に意見を聞いて検討を深めたい」と説明した。
海外には、外国人旅行者や出国旅行者から税や手数料を徴収している事例がある。米国は、電子渡航認証制度に基づき、査証(ビザ)免除国の渡航者から14ドル(約1550円)の申請料を徴収。韓国は、出国する旅行者から出国納付金を徴収しており、航空機利用の出国の場合は1万ウォン(約980円)が必要。豪州では、出国する旅行者に60豪ドル(約5030円)を課税している。