観光庁が1日に発足から10年を迎えた。この10年間で訪日外国人旅行者数は約3.4倍となるなど、観光は日本経済の発展、地域の振興に一定の貢献を果たすまでに成長した。ただ、高次元なインバウンド施策、地域の持続的な発展を支える観光施策の展開など課題は山積。節目を迎えて田端浩長官は「観光先進国」の実現に向けたコメントを発表した。
観光庁は、観光基本法を全面改正した観光立国推進基本法の制定(2007年1月施行)に伴い、政府を挙げた観光施策の強化を目的に、国土交通省の外局として08年10月1日に発足した。
発足した08年の訪日外国人旅行者数は835万人だったが、リーマンショック、東日本大震災などを乗り越え、13年に1千万人を突破、16年には2千万人を超え、17年に2869万人に達した。
16年3月には政府が観光振興の中長期構想「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定。訪日外国人旅行者数を20年に4千万人、30年に6千万人などの目標を設定し、「観光先進国」実現への挑戦を掲げた。ビジョンを踏まえ、観光庁は関係省庁とともに施策の充実、法制度の整備などを進め、新たな財源として国際観光旅客税も創設した。
観光庁の田端長官は「これからは『数』の達成だけでなく、観光先進国を目指して、その効果を日本の成長戦略や地方創生に具体的に結びつけるという視点が必要だ。旅行消費や観光関連投資などによる経済効果という目に見える指標も念頭に戦略を考えることや、利用者の目線に立ち、国民の目から見ても分かるような取り組みを進めていく」と表明。「訪日外国人旅行者数を4千万人にするなどの目標達成に向け、これからが正念場」「観光庁は、この10年間で培ってきたノウハウや経験を生かしながら、災害にも負けない観光先進国の実現に向けて、さらなる高みを目指していく」との考えを示した。