観光庁「第2のふるさと」ワークショップ 人と地域の関係構築


観光庁のワークショップ(写真は観光庁観光資源課の星課長)

 観光庁は3月16日、国内交流の需要創出に向けて「何度も地域に通う旅、帰る旅」という新たなスタイルの定着を目指す「第2のふるさとづくりプロジェクト」についてオープンワークショップをオンラインで開催した。有識者のパネルディスカッションなどでは、観光・レジャー目的の旅行にとらわれない地域と訪問者の関係性を構築し、滞在や移動の環境を整える必要性が指摘された。地域の活性化につながる交流・関係人口の拡大へのヒントが示された。

 

有名観光地以外にもチャンス

 ワークショップの冒頭、あいさつに立った観光庁の和田浩一長官は、コロナ禍の影響を受けてインバウンド需要がなくなり、従来型の国内観光も需要が低迷する中、第2のふるさとづくりプロジェクトを通じた地域の活性化に改めて意欲を示した。

 「コロナ禍で観光をめぐる景色は一変してしまったが、国内観光について分析すると、密になる有名観光地を避け、自然環境に触れ、地域に暮らすように旅したいというニーズが高まっている。大都市には故郷を持たない世代が増え、田舎に関わりを求める動きが見られる」「働き方や住まい方が流動化する今、気に入った地域をつくり、そこに『何度も通う旅』『何度も帰る旅』を推進・定着できないか。それは2地域・多地域居住の促進などにつながるのではないか。新しい国内交流需要の掘り起こしに向け、観光庁では、第2のふるさとづくりプロジェクトを進めている。これには有名な観光地以外にも大きなチャンスがある。実現には多くの課題があるが、各地の取り組みを応援していきたい」と述べた。

 

通う旅、帰る旅の場づくり

 パネルディスカッションに先立って、観光庁観光資源課の星明彦課長が、静岡県沼津市内のミカン畑から、第2のふるさとづくりプロジェクトについて語る動画が放送された。

 訪問先の地域は、少子高齢化、人口減少に直面する地域で、ミカン畑も担い手不足から2年ほど前に一度は耕作放棄地になったという。他方で、豊かな自然環境や地域に根付いた生業の魅力に引かれ、通うように、帰るように他の地域から訪れる人が現れ、農作業などに汗を流す姿も見られるようになったという。

 星課長は「地域が多くの方々にとって何度も通う場、帰る場となるには、人々を安心させる多様性を受容した居心地の良さ、さり気ない触れ合いから訪問者と地域が相思相愛に至るようなコミュニケーションデザインが肝要だ」と指摘した。

 地域の課題として、「地域の起点として地域に開かれた宿などの滞在環境も大事。滞在中に住民と緩やかな交流を育むことができる工夫も求められる。地域内の足も必要で、MaaS、新たなモビリティの活用など気軽に利用できる交通手段の確保が欠かせない。高頻度の往来には、航空、新幹線などにサブスク割引もあれば、助けになる」と述べた。

 

コミュニケーションのデザイン

 パネルディスカッションは、ファシリテーターを星課長が務め、有識者7人がパネリストとして参加した。

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