
観光庁は、観光地域づくり法人(DMO)の重要課題の一つである安定的な運営資金の確保について、財源開発の手法などを解説した「DMOにおける自主財源開発手法ガイドブック」を作成した。DMOの財務責任者をはじめ地域の観光関係者に向けた手引き。現状と課題を整理した上で、入湯税、宿泊税などを含めて具体的な財源開発に関する考え方をまとめている。ガイドブックの内容を複数回に分けて紹介する。
■観光財源の課題
観光庁が登録DMOを対象に昨年実施した調査の結果(回答・170団体)によると、DMO全体の収入の合計の内訳は次の通りだった。
国・地方自治体からの補助金・交付金・負担金56%▽地方自治体からの指定管理・受託事業収入17%▽収益事業15%▽会費・寄付3%▽特定財源1%▽その他8%
DMO財源の現状に関しては、次のような課題が指摘されている。
(1)公的資金への依存
観光庁の調査では、回答があったDMO全体の収入のうち56%を「国・地方自治体からの補助金・交付金・負担金」が占める。観光庁のDMO登録制度に関するガイドラインでは、行政からの支出による財源(補助金など)が過半を占める場合、「自主財源の確保について自治体と具体的に検討することが必要」としている。運営資金の安定化には、複数の財源を組み合わせることが重要とされる。
(2)単年度主義の補助金
自治体予算は単年度主義で、自治体の補助金への完全な依存は望ましくない。観光地の開発には、長期間の取り組みが必要で、DMOの財源も中長期の戦略に沿って調達する必要がある。
(3)出向職員への依存
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