観光庁、IR整備の基本方針案を公表


MICEの国際競争力など審査

 観光庁は4日、カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備に関する基本方針案を公表した。IRの誘致を目指す自治体が申請する区域整備計画を審査するための評価基準などを示した。評価基準には、MICE施設や宿泊施設の国際競争力、エンターテインメント性の高い公演やイベント、来訪者を各地の観光地に送り出すための機能などが求められることを掲げた。

 IR誘致を目指す自治体は、政府が示す基本方針に即した実施方針を作成し、公募で選定したIR事業者と共に区域整備計画を策定し申請する。基本方針案の公表時点では、申請の受け付け時期は示されていない。政府は区域整備計画を審査し、最大3カ所を認定する。

 政府による基本方針の決定時期は未定。基本方針案では、政府が基本方針を決定する前に、自治体が実施方針の作成やIR事業者の公募・選定手続きを進めることも想定しており、その場合には基本方針の公表後に実施方針を修正することなどを認めている。

 区域整備計画の認定審査に当たって国土交通相は、有識者で構成する審査委員会を設置する。審査委員会の事務局は観光庁に置く。認定審査の基準を明確化するため、認定を受けるために適合すべき「要求基準」と、公正に審査するための「評価基準」を基本方針に定める。

 基本方針案では要求基準として、IR整備法の政令で定められた施設規模の要件などへの合致を求めている。政令では、国際会議場施設のうち最大の国際会議室の収容人員がおおむね千人以上、かつ、国際会議場施設全体の収容人員の合計が最大の国際会議室の収容人員の2倍以上▽宿泊施設の全ての客室の床面積の合計がおおむね10万平方メートル以上▽カジノのゲーミング区域の床面積の上限はIR施設の床面積合計の3%―などの要件が定められている。

 認定基準は、要求基準を満たした区域整備計画を評価する基準で、(1)国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現への寄与(2)経済的・社会的効果(3)IR事業を安定的・継続的に運営できる能力・体制(4)カジノ事業の収益の活用(5)カジノ施設の設置・運営に伴う有害な影響の排除―の5項目で構成されている。

 このうち「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現への寄与」では、IR区域全体について「極めて高い国際競争力」「独自性」「これまでにないスケール」などを掲げた。IRを構成する施設別では、MICE施設について「日本のMICEビジネスの国際競争力を飛躍的に向上させるスケール」を、宿泊施設には設備やサービスなどに国際競争力を、魅力増進施設には国際的に最高水準のエンターテインメント性を有するイベントなどを求めた。

 IR区域には、IRへの来訪者を日本各地に送り出すための機能を備えた施設も必要で、「各地の観光の魅力を伝えるショーケースとしての機能」「旅行者に必要なサービスの手配を一元的に行うコンシェルジュとしての機能」を求めている。

 「経済的・社会的効果」では、MICEの開催件数や他地域への観光客数の増加などにも効果を発揮し、政府が30年に向けて掲げている訪日外国人旅行者数6千万人、その消費額15兆円の目標達成に貢献することを求めている。

 また、「カジノ施設の設置・運営に伴う有害な影響の排除」では、適切な監視や警備、ギャンブル依存症防止の対策など、有害な影響を排除するための措置の効果的な実施を求めた。

 石井啓一国交相は6日の会見で、「日本型IRは、これまでにないスケールとクオリティを有する総合的なリゾート施設を整備し、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現を目指すものだ。国としては、できるだけ早期にIRの整備による効果が実現できるよう、カジノ管理委員会の設立や基本方針の策定など、所要の準備を確実に進める」と述べた。

 観光庁は4日、基本方針案について一般から意見を公募するパブリックコメントを開始した。募集期間は10月3日まで。

 
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