
担い手が意見交換
観光庁は5日、観光地域づくりに興味を持つ人同士のネットワークの形成や情報交換を目的とした、観光地域づくり人材シンポジウムを東京都港区で開いた。従来、観光地域づくりを主導してきた行政や外部コンサルタントなどとは異なる、異業種や若い世代といった「新しい担い手」による観光地域づくりについてパネルディスカッションを開催。パネリストから、新しい担い手の不足や、新しい担い手と共に地域を活性化させる人材や組織が不足している現状が指摘された。
パネルディスカッションでは、Uターンや観光プロデューサー任命により「観光地域づくりの新たな担い手」として各地域で活躍する、青森県大間町の「まちおこしゲリラあおぞら組」の島康子氏、千葉県富津市の観光プロデューサー・島田昌幸氏、静岡県伊豆の国市の観光プロデューサー・木村美穂氏、鳥取県米子市の皆生温泉旅館組合青年部・宇田川育美氏(皆生つるや若女将)が登壇。パネリストとしてそれぞれの取り組みと成果を紹介した。
各パネリストからは、地元住民や観光関係者とコンセンサスを取ることや自分の活動を地域に広げ根付かせることの難しさなどが話題に上った。また、既存の事業者と競合しない事業づくりや地域づくりに共にかかわる人的なつながり作りなどが成功のヒントとして挙げられた。
このうち、グラフィックデザイナーから観光プロデューサーになった木村氏は、「『誰に、どのように』という視点を重視するのは、デザインも観光も同じ」と話したうえで、誘客ターゲットを明確化したうえでのニーズ調査や誰にでも分かるように絵文字(ピクトグラム)を使ったポスターの作成などの事例を紹介した。
このほか清水愼一・JTB常務取締役、立教大学観光学部特任教授が「観光地域づくりの担い手の育成」をテーマに講演。既成の観光振興の手法などを覆す、地域住民以外の『よそ者』、若い世代の視点で地域を見る『若者』、住民から見ると突飛な行動や発想をする『バカ者』の存在の必要性と、彼らの活動を根付かせる組織作りの重要性を指摘した。
観光地域づくり人材シンポジウムには、全国の自治体関係者や観光関係者ら300人超が出席。「児童・生徒によるボランティアガイド普及促進モデル事業」の実施報告や人材育成プログラムの先進事例の紹介もあった。シンポジウム終了後の情報交換会では、参加者同士が積極的に情報交換をする場面が多くみられた。

担い手が意見交換