観光庁は、東日本大震災の経験を教訓にするため、災害時の訪日外国人旅行者に対する情報提供について検討を進めている。震災時に日本に滞在していた外国人に聞き取り調査を行うほか、災害関係情報を発信する外国人向けのポータルサイトを試験的に構築する。幅広い意見を聞こうと、地方自治体、観光・交通事業者、報道機関の関係者で構成する作業部会の初会合も19日に開催した。
情報提供のあり方を検討するための基礎調査として、震災時の外国人旅行者に対する情報提供の実態を検証する。大使館や行政機関、交通・観光事業者、各種メディアなどの対応状況を把握。震災時に日本に滞在していた外国人には、当時必要としていた情報の内容や実際の情報の入手手段などを聞く。
基礎調査を基に、災害に関する情報を発信するポータルサイトの構築を検討する。観光庁や日本政府観光局(JNTO)などが開設するポータルサイトを想定。関係機関のウェブサイトとリンクして、外国人旅行者への情報提供を目指す。
ポータルサイトの構築に向けては、試験的な英語版のサイトを秋に開設する予定。外国人協力者に画面を操作してもらい、実際に活用できる情報内容や表示方法にしていく。ポータルサイトは来年度に本格運用できるよう具体的な整備を進める方針だ。
作業部会の初会合では、観光庁国際観光政策課の柏木隆久課長が「外国人旅行者がどのような情報を求めているのかにスポットを当てて、情報提供のあり方を検討していきたい」と述べ、委員に議論を促した。
今年度末までには情報提供のあり方についてガイドラインも作成する。外国人旅行者が災害時に必要とする情報や提供手段、各関係機関の役割などについてまとめる。