観光庁、観光DX推進 XR、自動運転、5Gなど活用

  • 2021年5月21日

技術開発と実証 5地域で

 観光庁は4月27日、観光分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に向けた技術開発、地域観光モデルの構築に関する実証事業5件を採択した。高精度な位置認識技術、顔認証技術、5G技術、自動運転などを活用した事業を5地域で支援する。仮想現実を融合させたコンテンツ、混雑度の可視化、継ぎ目のない移動・決済環境などに先進技術の導入を進める。

 事業の正式名称は、「これまでにない観光コンテンツやエリアマネジメントを創出・実現するデジタル技術の開発事業」。選定された事業では、観光DXを推進するとともに、技術開発に伴う特許出願などの戦略も明確化されている。
選定案件は次の通り(事業内容は申請時点)。

■鹿島アントラーズを基軸としたエリアマネジメントの変革(代表企業=鹿島アントラーズ・エフ・シー)、茨城県鹿嶋市

 鹿嶋市は、サッカーJリーグの鹿島アントラーズの本拠地、長い歴史を誇る鹿島神宮などで知られるが、低い観光消費額、短い地域滞在時間などが課題となっている。

 事業では、高精度位置測位、ビッグデータ解析、5G、XR(仮想現実技術などの総称)などの技術を基にリアルタイムにデータを活用し、観光の課題解決に取り組む。情報発信の高度化、混雑度の可視化と渋滞回避、混雑情報に合わせたダイナミックプライシング、体験の高付加価値化などにつなげる。

 10~12月にカシマスタジアム周辺など鹿嶋市内で実証実験を行う。特にアントラーズのホームゲームの日には、地域と連携したイベントを実施するほか、積極的な情報発信に取り組む。

■XR技術を用いた屋外周遊型XRテーマパーク開発事業(同=京浜急行電鉄)、横浜市

 横浜には、みなとみらい、赤レンガ倉庫、元町・中華街など人気の観光地があるが、インバウンドの誘客が弱いとされる。外国人宿泊客が少なく、観光客の消費金額の低さが課題。技術開発を通じてエリアへの滞在時間を増やし、消費の拡大を目指す。

 事業では、XR技術、3次元地図データを基にした高精度位置認識技術、バス車内の顧客位置を正確に把握するセンシング技術などを応用した技術開発を推進。街とデジタルが融合した高付加価値なXRバスツアーを造成する。

 実証実験では、横浜・みなとみらいエリアでバスツアーを実施する。11月に運行を開始し、XRアプリの機能、収益化モデルなどについて検証する。

■顔認証と周遊eチケットを融合した手ぶら観光の実現(同=パナソニックシステムソリューションズジャパン)、山梨県富士吉田市など

 富士山エリアは、国内外の観光客が訪れる日本を代表する観光地だが、観光施設間の距離が離れており、特定の施設だけを訪れて帰る観光客が多い。エリア全体での観光消費や滞在時間を最大化する必要がある。

 事業では、顔認証、周遊eチケット、リアルタイムデータ解析を融合した「手ぶら観光プラットフォーム」を開発し、移動手段などを継ぎ目なく提供できる新たな地域観光モデルを構築する。旅行前の旅程プランニング作成コンテンツ機能の開発も行う。

 実証実験は、11~12月に富士五湖を中心としたエリアで実施予定。手ぶら観光プラットフォームの構築によって、エリア内の回遊性を高め、データ解析によるダイナミックプライシングや行動分析に基づくクーポン発行なども行う。

■次世代型ガイド価値拡張プラットフォーム事業(同=JR西日本コミュニケーションズ)、兵庫県姫路市

 インバウンド市場は体験型観光といったコト消費へのニーズが高まり、通訳ガイドなどの活躍が期待されていたが、コロナ禍で需要が失われた。訪日外国人旅行者とガイドをつなぐマッチングビジネスも困難に直面したため、VR技術などを基盤にガイド業を再活性化させる。

 事業では、姫路エリアをリアルに再現したオンライン仮想空間で、360度仮想空間構築技術やガイド独自情報収集技術を通じて、訪日外国人向けの次世代型オンライン観光ガイドのプラットフォームを構築する。

 遠隔地にいながらも臨場感あふれる体験が可能なテレプレゼンスの高いオンライン多言語ガイドサービス、デジタル観光コンテンツの体験などで、ガイドの提供機会の拡大につなげる。コロナ後を見据え、オンラインからオフラインへの流れを創出し、関係機関とのマッチングも最適化する。

■5G・自動運転・XRが創る「どこでもテーマパーク」(同=ゼンリンデータコム)、福岡県北九州市

 5Gを活用した自動運転技術とXR技術を融合した先進デジタルアトラクション、趣味や混雑状況に合わせて観光・物販サービスを提案するAI観光コンシェルジュを提供し、北九州市の八幡東田エリアを一つのテーマパークのようにする。

 エリア内にある世界遺産の官営八幡製鐵所をはじめ、いのちのたび博物館(恐竜博物館)、環境ミュージアム、新科学館(来年オープン予定)などの観光資源を先進技術で有機的に結び、自動運転などのおもてなしで高齢者にも優しい観光サービスの創出を目指す。

 自動運転、5G、XR、スマートフォンアプリの技術開発を進め、来年1月に北九州市などで実証実験を行う。回遊促進や需要創出の効果を測定し、エリアにおける新たな地域観光モデルの構築につなげる。 

 
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