観光庁、東北復興に「観光博」


 観光庁は、東日本大震災からの東北地方の観光復興に向け、旅行需要を喚起する対策事業を来年1月からスタートさせる考えだ。東北地方全体を博覧会場に見立て、各地域のイベントなどを連動させる「東北観光博」(仮称)として来年度末までプロモーションを行う。事業費は今年度第3次補正予算と来年度予算が要求通り成立すれば、8億円になる。東北観光への関心を高め、持続的な集客につなげる。

 事業期間は来年1月から2013年3月末まで。観光庁は第3次補正予算案に5億5千万円を計上しているほか、来年度予算案に復旧・復興枠として2億5千万円を要求している。

 東北観光博の事業をまとめる事務局を開設し、ポータルサイトの開設や統一ロゴの使用、各種メディアを通じた宣伝などのプロモーションを行う。観光関連事業者などにも連動した商品造成を呼びかけ、集客に結び付ける。

 国費で情報発信や全体の調整を図る一方で、東北地方内に30カ所ほどのゾーン(区域)を設置。観光博の統一感を確保しながら、各ゾーンにイベントや体験型プログラムを実施してもらう。ゾーン間のイベントの連動や周遊のための2次交通の整備などを促す。

 観光庁観光地域振興課は「東北の復興につながるように持続的に観光需要を喚起していく。併せて着地型観光のモデルとなるような事業にしたい」とし、被災地の復興に加え、新たな観光地づくりの契機とする考え。

 事業の開始に向け、東北地方の自治体や関係機関との調整を進めていく。具体的な動きはこれからだが、福島県は、先月スタートさせた観光復興キャンペーンの計画の中に東北観光博との連動を盛り込み、各種事業との相乗効果の発揮を期待している。

「東北に行こう」ムードの持続へ 溝畑長官
 観光庁の溝畑宏長官は、先月の専門紙向け定例会見で、東北観光博の実施について、「東北に行こうというムードを持続させる必要がある。年が変わると関心が落ちることも想定されるので、博覧会という形で観光需要を下支えしていきたい」と説明した。

 事業開始当初は、東北地方の冬の観光を盛り上げるため、冬の祭りの情報発信を仕掛けたり、近年減少傾向にあるスキー客の回復につながるPR活動を展開したりしたいという。原発事故の風評被害なども払しょくしたい考えで、溝畑長官は「経験のない事態であるだけに、息長く支援する必要がある」と語った。

 
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