観光庁、休暇シンポジウムを開催


休暇改革のシンポジウム

休暇改革のシンポジウム

 観光庁主催の休暇シンポジウム「新たな成長戦略としての休暇改革」が2月26日、東京・千代田区の東京国際フォーラムで開かれた。講演では、伊藤元重・東京大学大学院経済学研究科教授が、“時間の価値”に着目して休暇を促進し、企業や雇用の仕組みを考えてはどうかと提言。また、在日フランス大使館のジュール・イルマン広報部参事官が、バカンスを重視するフランスの休暇制度を説明し、休暇と経済活動は両立し得ると強調した。

 伊藤教授は、「休暇取得・分散化の意義」と題して講演。日本経済が人口減少や産業構造の変化などへの対応をせまられる中、「経済活動には金、予算の制約以外に、時間の制約がある。時間の価値をどう考えるかが重要。休暇はその突破口になる」と指摘した。

 複数の制度が相互に補完して全体を強固にする「制度的補完性」という言葉も紹介。「休暇を分散化させた時、企業活動や雇用はうまくいくのか。制度的補完性の問題が出てくるが、休暇の促進から他の問題を考えた方がよいのではないか」と提言した。

 また、観光立国の実現に休暇改革が重要なテーマだとして、経済学者の「マーケティングとはいかに売るかではなく、価値観をいかに買い手とシェアできるか」という言葉を踏まえ、「外国人旅行者の誘致でも、日本人の余暇、観光に対する価値観が重要になる」と指摘した。

 フランスのイルマン参事官は、有給休暇の100%近い取得率と連続休暇の付与義務、学校休業の分散化など、法律、制度のもとでバカンスを国策として推進していると説明。経済の生産性の高さを示すデータなどを基に、「フランスは化学や医薬、自動車、航空など世界に誇る企業を多く抱える。休暇と経済は両立し得る」と語った。定年後の移住先として海外からの人気が高い「住みやすい国」であることも強調した。

 このほかシンポジウムではパネルディスカッションが行われた。NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也氏、東京都杉並区教育委員会教育長の井出隆安氏、労働政策研究・研修機構主任研究員の小倉一哉氏、東京大学大学院医学系研究科准教授の島津明人氏が意見を述べた。

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