観光庁、ワーケーションなど普及へ企業とモデル事業実施


 観光庁は、ワーケーションなどの「新たな旅のスタイル」の普及を目指している。企業にワーケーションなどを体験してもらうモデル事業を実施するほか、企業向けのパンフレットを作成する。有識者や経済団体、関係省庁などで構成する検討委員会も立ち上げ、課題や成果を検証しながら普及の方向性を探る。ワーケーションなどの普及を新たな旅行機会の創出や観光需要の平準化、休暇の分散化にもつなげたい考えだ。

 普及を目指す背景には、新型コロナウイルスの流行や働き方改革、国内旅行市場の低迷がある。日本人の国内旅行は特定の休暇時期に集中し、混雑や3密が生じやすい。もとより宿泊日数が短く、旅行消費額が伸び悩んでいる。感染リスクの低減、国内旅行市場の拡大に向け、普及、促進への施策を打ち出す。

 観光庁では、ワーケーションやサテライトオフィス、ブレジャー(出張に休暇を合わせた旅行)などを新たな旅のスタイルと位置付ける。モデル事業の実施やパンフレットの作成、セミナーの開催など、普及、促進に向けた取り組みを企業や地域、関係省庁と連携して来年3月末までに実施する。

 モデル事業では、企業10社程度を募集し、受け入れ環境の整った国内数カ所の地域でワーケーションやブレジャーを各社15人程度に体験してもらう。参加者へのアンケートなどから、生産性や業務意欲の変化などに関する成果や課題を把握し、今後の普及に生かす。
 企業の経営層や人事担当者を対象にした普及啓発用のパンフレットも作成する。ワーケーションなどの先進事例、労務や税務の取り扱い例を紹介するなど、導入を促す内容にする。パンフレットは、年内に簡易版を、来年3月末までに完成版を発行する予定。

 観光庁が設置した検討委員会の名称は、「『新たな旅のスタイル』に関する検討委員会」。10月23日に東京都内で初会合を開いた。座長には、東洋大学国際観光学部国際観光学科教授の森下晶美氏が就任した。

 座長以外の検討委員会の構成員は次の通り(敬称略)。

 田中敦(山梨大学大学院総合研究部教授)▽小豆川裕子(常葉大学経営学部経営学科准教授)▽桐明祐治(和歌山県企画政策局情報政策課課長)▽大橋泰弘(日本経済団体連合会産業政策本部上席主幹)▽五十嵐克也(日本商工会議所地域振興部部長)▽伊藤博之(日本観光振興協会理事)▽高井晴彦(日本旅行業協会国内・訪日旅行推進部部長)▽井上秀敏(全国旅行業協会事務局長)▽野村栄悟(内閣官房まち・ひと・しごと事務局参事官)▽飯倉主税(総務省情報流通行政局情報流通振興課課長)▽榎本剛(文化庁政策課課長)▽宮下雅行(厚生労働省雇用環境・均等局在宅労働課課長)▽荻野憲一(農林水産省農村振興局都市農村交流課課長)▽熊倉基之(環境省自然環境局国立公園課課長)▽五十嵐徹人(観光庁審議官)▽平泉洋(観光庁国際観光部参事官)

 
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