観光庁、オーバーツーリズムで報告書・事例集 混雑やマナー・ルール課題

  • 2019年6月28日

実態把握も有効な国際指標も紹介

 観光庁は、訪日外国人旅行者の急増などが地域に負の影響を及ぼす、いわゆる「オーバーツーリズム」への対応として、報告書「持続可能な観光先進国に向けて」と「先進事例集」を作成した。国内では現状、他の主要観光国と比較してオーバーツーリズムが広く発生する状況にないとしながらも、多くの自治体などが混雑やマナー・ルールを課題と認識しているとして、国内外の地域での先進事例、持続可能な観光地経営に関する実態把握や対策の実施に役立つ国際的な観光指標などを紹介している。

 観光庁は2018年6月、庁内に長官を本部長とする「持続可能な観光推進本部」を設置。現状の把握や国内外の先進事例の収集、今後の取り組みの方向性について検討してきた。

 観光庁などが18年度に実施したアンケートの結果によると、自治体が意識しているオーバーツーリズムの課題は、観光客のマイカーや観光バスによる交通渋滞などの「混雑」、トイレの不適切な利用やゴミの投棄、立ち入り禁止区域への侵入、文化財の損傷などの「マナー・ルール」に関する項目が多かった。

 オーバーツーリズムの海外事情も紹介。スペイン・バルセロナでは、夏季オリンピック(1992年)を契機に観光客が増加。住宅地と観光地が近接している条件もあり、観光客のマナーへの苦情など、住民との摩擦が社会問題化。旅客の流動や分散化などを研究する機関が設立され、エリア分けや観光スポットの事前予約制導入などの対策が講じられている。

 イタリア・ベネチアでは旅行者の増加などに伴い、外国資本の流入などが住宅価格の高騰を招いて居住人口が減少。観光地化で住民の利便性、歴史的な雰囲気が損なわれるなどの問題も指摘された。市では、人気の観光地区へのアクセスに予約制を導入したり、住居用建物のホテルへの変更を規制したりしている。

 対策の先進事例集には、国内の取り組みも収集した。京都市では、親しみやすいデザインのイラストや平易な表現を交えたマナー啓発のリーフレットなどを作成し、ウェブサイトを含めて外国人旅行者に発信。また、京都市は、閑散期や朝・夜の時間帯の観光コンテンツを充実させることで、分散化による混雑緩和に取り組んでいる。

 観光庁としての今後の具体的な取り組みでは、京都などの代表的な観光地について関係自治体と協力して、混雑やマナー対策などに関するモデル事業を実施し全国に普及していく。

 また、観光庁では、自治体やDMOが、住民の満足度や環境への負荷などの実態把握に基づいて持続可能な観光地経営を行うことができるよう、国際基準に準拠した「持続可能な観光指標」を開発し、普及する方向性を示している。

 国際基準として、国連世界観光機関(UNWTO)などにより設立されたグローバル・サステイナブル・ツーリズム協議会が開発した観光業界向けの「GSTC―I」、観光地向けの「GSTC―D」を紹介している。

 「GSTC」は、(1)持続可能な観光地管理(2)地域社会における経済利益の最大化、悪影響の最小化(3)コミュニティ、旅行者、文化資源に対する利益の最大化、悪影響の最小化(4)環境に対する利益の最大化、悪影響の最小化―をテーマに、実態を把握する評価指標を設定している。

 例えば、「GSTC―D」の指標では、「コミュニティ、旅行者、文化資源」に関して、「観光資源の保護」「旅行者のふるまい」などの項目を設定。「環境」に関しては、「温室効果ガスの排出」「省エネルギー」「廃棄物」「騒音」「交通の環境負荷」などの項目が設けられている。

 観光庁は、持続可能な観光地経営に関する評価指標などを活用した「見える化」を通じ、観光が地域にもたらすプラス、マイナスの影響を地域で共有し、住民の観光への理解を促進することが重要と指摘する。対策の財源に関しても、受益者負担の考え方に基づき旅行者から負担金を徴収する仕組みなどについて、地域の実情に応じて検討することが望ましいと提言している。

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