観光地域プロデューサー始動、活性化へ手腕発揮


旅行会社OBや大学教授、女性デザイナーらが選ばれた(9月、都内で)

旅行会社OBや大学教授、女性デザイナーらが選ばれた(9月、都内で)

 観光振興のけん引役を求める地域と、知識や経験を地域に生かしたい人材とを橋渡しする国土交通省の観光地域プロデューサー事業で、モデル地域5カ所のプロデューサーがそれぞれに決まり、今月から各地域で活動を始めた。5人のプロデューサーは、旅行会社OB、大学の名誉教授、20代の女性アートデザイナーなど多彩な顔ぶれで、職務に賭ける思いもさまざまなものがある。自治体や観光協会などに所属し、地域観光の活性化に腕をふるう。

 今年度からの新規事業で、プロデューサーには全国から78人の応募があった。書類選考、5日間にわたる研修会などを経て、モデル地域と有識者でつくる事業検討委員会(座長=大西隆・東京大学先端科学技術研究センター教授)が5人を選定。プロデューサーは各地域の所属先と2年前後の雇用契約を交わした。

 富山県立山町のプロデューサーには、今年春に名鉄観光サービスを定年退職、現在は愛知産業大学で観光論の非常勤講師なども務める井野和英さん(61)が決まった。来年の東海北陸自動車道の全線開通を生かした誘客などに、豊富な経験と知識が期待される。

 井野さんは「旅行業に長年従事してきたが、着地のビジネスの側、観光地の側から、もう一度観光を捉え直してみたかった。売れる旅行商品を造り、リピーターを増やしたい」と意気込む。配属先は町観光協会で、愛知県岡崎市から現地に赴任した。

 山梨県富士河口湖町には、山梨大学名誉教授の花岡利幸さん(66)。観光やまちづくりに関する実践的な研究を多数手がけ、過去にも同町のまちづくりに参画した経験がある。町観光課に席を置き、週2日勤務する。

 花岡さんは「学者としてこれまでも地域密着で研究に取り組んではきたが、服の上からかゆい所をかくような部分もあった。今回の機会を生かし、本当にかゆい所に手を伸ばしてみたい」と語り、地域に入り込んだ活動に熱意を示した。

 静岡県伊豆の国市は、観光やまちづくり以外の分野から若い人材を起用。編集デザインなどを手がける木村美穂さん(27)を選んだ。配属先の観光協会では「ビジュアル(視覚的)の部分を基点に観光地をデザインする能力に期待した。歴史ある観光地ゆえに古い意識もある。自由な発想で新しい風を吹き込んでほしい」と語る。

 木村さんは「デザイナーとして培った本質や価値を見極める力を生かしたい。観光資源はたくさんある。どうデザインし、どう発信していくか、地域の方とともに考えていきたい」と笑顔をみせた。

 このほか千葉県富津市は、地域おこしなどに実績を持つコンサルタント会社の代表、北海道岩見沢市の島田昌幸さん(24)。東京都台東区は、長年にわたり旅行業に従事してきた神奈川県川崎市の鈴木英雄さん(61)に決まった。

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