補助金精算までつなぎ融資 トランザックス、観光庁事業でも実績


資金ない任意団体でも

 自己資金が少なく、補助金が入金されるまでの立て替え払いに困ってしまう―。電子記録債権化などを通じて中小企業の金融円滑化を支援するトランザックス(東京都港区)は、国の事業などで補助金が事業者や団体に支払われるまでのつなぎ融資のニーズに応える「補助金POファイナンス」を展開している。経済産業省や中小企業庁の補助事業で実績を上げてきたが、観光庁の事業でも利用例が出てきた。

□   □

 補助金POファイナンスは、給付前の補助金を交付決定段階で電子記録債権として担保化することで、金融機関による融資を補助事業に取り組む事業者や団体が受けやすくなる仕組み。トランザックスの取り扱いでは、2019年4月、中小企業庁のものづくり補助金で採用されたのを皮切りに、国や自治体の事業で利用が増えている。

 観光庁の事業では、20年度第3次補正予算の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」と「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」で採用された。それぞれの事業事務局が補助金POファイナンスの制度について採択事業者に案内。計7件の利用があり、資金調達額の合計は約9100万円に上った。

 観光庁の域内連携事業で補助金POファイナンスを利用した団体の一つが、宮城県大崎市の鳴子温泉もりたびの会(大場隆博代表)。地域の林業や宿泊業の関係者でつくる18年に設立された団体。森林の自然環境を学ぶツアーの造成、地域資源を生かした土産品の開発に取り組む事業を提案し、事業費として上限1500万円に近い補助金の交付が決定した。

 ただ、補助金の支払いは事業終了時で、事前の概算払いなどの制度はない。もりたびの会事務局の加賀道氏は「小さな任意団体で資金がない。過去にも事業の際に金融機関に融資を相談したが、うまくいかなかった。そこで補助金POファイナンスの利用を決めた。手続きの負担は少なく、契約旅行会社や土産品を開発する工房への立て替え払いに必要な資金を調達できた」と話した。

 電子記録債権化には、煩雑な手続きがなく、補助金交付の存在や債権を可視化でき、金融機関にとっても未回収リスクを回避できるメリットがある。補助金POファイナンスについてトランザックス法人営業部では「観光分野の任意団体や地元有志が取り組む事業では、補助金入金までの経費の立て替えに苦労するケースが少なくないと聞く。補助金POファイナンスを資金調達の選択肢の一つとして検討してほしい」としている。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒