7日から9日にかけて日本列島を縦断した台風9号による大雨は、各地に被害をもたらした。山形県山形市の蔵王温泉では大雨により土石流が発生。一部の源泉が被害を受け、給湯できない旅館が出た。被害状況が地元紙などで大きく取り上げられたことから、観光客の足も遠のきぎみ。紅葉の季節を前に、風評被害の拡大防止に取り組む構えだ。
台風に伴う7日の大雨で被害を受けたのは、蔵王温泉の大小40本ほどある源泉のうち、約10本の源泉が集まる「湯左ノ沢源泉」。同源泉は自然湧出の源泉だが、湯を一時貯めておく「分湯枡」と、そこから各旅館に湯を送る配管が土石流で流された。このためこの源泉を利用する4軒の旅館に給湯できない状態となった。露天風呂の一部が壊れた旅館もあるという。
4軒のうち「堺屋森のホテル ヴァルトベルク」は、宿泊客に蔵王温泉内にある同じ堺屋グループの旅館へ回ってもらうほか、公共の「蔵王大露天風呂」を無料で利用してもらうなどの対応をしている。
大雨の被害を受けた旅館は蔵王温泉の旅館60〜70軒のうち4軒のみと比較的少ない。また現在給湯が止まっている旅館も14〜16日の3連休までには給湯の再開を目指す。しかし、「普段に比べ、温泉街が静かで活気がない」(蔵王温泉観光協会)。
風評被害への不安は温泉全体に広がっている。同観光協会では「地元紙の1面に出るなどしたため、蔵王温泉の源泉がすべて潰れたなど、実際よりも被害が大きくとらえられているようだ。紅葉の時期を前に、元気な蔵王をアピールできれば」と話す。風評被害の状況を踏まえ、今後誘客促進策などを打ち出すことも検討していくという。