職場の「心理的居場所感」、ワーク・エンゲージメントと相関


 JTBコミュニケーションデザインは3月19日、「職場における『心理的居場所感』に関する調査」の結果を発表した。この調査は、企業で働く人々の職場での心理的な居心地の良さを探るものであり、ワーク・エンゲージメントや職場環境との関連性を明らかにしている。

一般社員や30代女性の「心理的居場所感」に課題

調査結果によると、「心理的居場所感」は役割感、安心感、本来感の3つの要因で構成されており、これらはワーク・エンゲージメントと強い相関関係にあることが明らかになった。特に注目すべき点は、一般社員や勤続年数の短い社員、そして30代の女性一般社員において「心理的居場所感」が低い傾向にあることだ。

「役割感」が最も高く、「本来感」が最も低い

調査では、「心理的居場所感」の3つの要因のうち、「役割感」が最も高い数値を示した。一方で、「本来感」は最も低い結果となった。これは、従業員が職場で自分の役割を認識しつつも、自分らしさを発揮することに課題を感じている可能性を示唆している。

役職が上がるほど「心理的居場所感」が高まる傾向

調査結果は、役職が上がるにつれて「心理的居場所感」が高まる傾向を示している。特に、一般社員と役職者の間には顕著な差が見られた。これは、責任ある立場に就くことで、自身の存在価値や役割の重要性を実感しやすくなることを示唆している。

勤続年数20年以上で「心理的居場所感」が最も高い

勤続年数別の分析では、20年以上勤務している従業員の「心理的居場所感」が最も高いことが明らかになった。これは、長年の経験を通じて職場への適応度が高まり、自身の役割や価値をより深く理解していることを示している。

30代女性一般社員の「本来感」が低下

特筆すべき点として、30代の女性一般社員における「本来感」の低下が挙げられる。この年代は、キャリアの転換期や私生活での大きな変化を経験する時期と重なることが多く、自己のアイデンティティや価値観の揺らぎを感じやすい可能性がある。

ワーク・エンゲージメントとの強い相関関係

調査は、「心理的居場所感」とワーク・エンゲージメントの間に強い相関関係があることを明らかにした。仕事に熱心に取り組み、活力を感じている従業員ほど、高い「心理的居場所感」を持つ傾向にある。

職場のモチベーション伝播と「心理的居場所感」の関連

興味深いことに、職場内でのモチベーション伝播と「心理的居場所感」にも関連性が見られた。同僚や先輩のモチベーションの高さに影響を受けやすい従業員ほど、高い「心理的居場所感」を示す傾向がある。

多様性と包摂性が「安心感」を高める

職場の多様性や包摂性も「心理的居場所感」、特に「安心感」と強い相関関係にあることが分かった。自分に合った働き方を選択できる環境や、個々の性格や人柄が尊重される職場文化が、従業員の安心感を高めている。

フレックスタイム制度などが「心理的居場所感」を向上

調査では、フレックスタイム制度や法定基準以上の子供の看護休暇など、働きやすさを支える制度の存在が「心理的居場所感」の向上に寄与していることも明らかになった。これらの制度を利用した経験がなくても、その存在を認識しているだけで効果があることが示唆されている。

この調査結果は、企業が従業員の「心理的居場所感」を高めることの重要性を示している。特に、一般社員や若手社員、そして30代の女性社員に対する支援の必要性が浮き彫りになった。また、職場の多様性や包摂性を高め、柔軟な働き方を可能にする制度を整備することが、従業員の「心理的居場所感」を向上させ、ひいてはワーク・エンゲージメントや生産性の向上につながる可能性がある。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 1位草津、2位道後、3位下呂

2024年度「5つ星の宿」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第38回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2024年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月13日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒