経営理念はサステナビリティ  JTB執行役員 サステナビリティ・DEIB推進担当 西松千鶴子氏に聞く


JTB執行役員 サステナビリティ・DEIB推進担当 西松千鶴子氏

交流拡大には持続可能な環境が必須

 ――なぜサステナビリティ・DEIBを推進するのか。

 「私たちの存在価値を示す経営理念はまさにサステナビリティそのものであり、交流を維持拡大するためには、人々が心豊かであること、そして環境が持続可能であることが必須。そのためサステナビリティの観点を事業計画に盛り込んだ。昨今、サステナビリティの考え方はグローバル基準をベースに進んでおり、各企業の事業計画などに組み込まれていることも多い。マーケットから求められる熱量も非常に高くなっているため、サステナビリティ・DEIB推進を加速する」

 ――DEIBとは。

 「サステナビリティの考え方は必ずしも環境保全だけではなく、人々の心の豊かさという意味もあり、それを支える『人』にも焦点を当てた。DEIBのDは『ダイバーシティ』で、JTBでは従前から推進してきたが、さらに進化させる。Eは『エクイティー』(公平)で、多様な個性を持った社員が力を思い切り発揮できる場を整えていく。Iは『インクルージョン』(包摂性)。社会的な弱者やマイノリティの人も同じ環境で働けるよう周囲が理解し、行動で示すこと。最後のBは『ビロンギング』(帰属意識)。社員が自分の個性を発揮できる仕組みを社員目線で整える。まとめると、多様な個性を持つ社員が、今以上に持てる力を十分に発揮し、活躍できる場を作っていくことが狙いだ」

 ――サステナビリティに関する具体的な取り組みは。

 「昨年5月にJTBとしての脱炭素の目標を発表した。中期目標として30年度までに自社の企業活動から排出される炭素排をゼロにし、長期目標として50年度までに事業活動全体でカーボンニュートラル達成を目指す。脱炭素のほか、『生物多様性』『資源・廃棄物』などのテーマについても取り組みを進める」

 ――DEIBについては。

 「強化テーマとして『組織開発支援』『ワークスタイル変革推進(働き方改革)』『キャリア開発』『障害者雇用とその活躍支援』『ジェンダー』の五つを設定している。社内の『スマイル委員会』という組織が中心となり、DEIBも含めて風土改革や組織活性化に向け取り組んでいる」

 ――JTB旅ホ連と連携して何に取り組む。

 「アンケートで判明したことだが、宿泊施設によっては『自分たちのところではサステナビリティの取り組みを行っていない』と思っている。しかし各旅館・ホテルが日々やっていること、例えば、ゴミの分別や、地産地消を大事にしたメニュー作りなども、立派なサステナビリティの取り組みだ。こうした日々の当たり前と思っていた行動が実はサステナビリティに結び付いていることに気づくことが大切だ」

 「グローバル基準に照らすと、日本のお客さまはまだサステナビリティの意識があまり高くないという話もある。しかし実際のところ意識はかなり高まっており、50%近い人がサステナビリティの観点で施設を選ぶという調査結果もある。そうしたことから、宿泊施設が行っているサステナビリティへの取り組み情報をJTBホームページや、高級宿泊施設のパンフレット『プラチナクオリティ』に掲載している。JTBでは、『サステナビリティを意識した取り組みを行っている宿に泊まりたい』という思いを持つお客さまに対して、宿泊施設の選択時にそうした情報をしっかり届けようとしている」

 「まずはJTBが行っているサステナビリティの取り組みを可視化し、こうした情報を旅ホ連の宿泊施設の皆さまと一緒になって、お客さまに届けていきたい。そのうえで、さらに何ができるかということを議論しながら、ともにサステナビリティへの歩みを進めていきたい」

 
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