体験型観光に積極的に取り組み、成果を上げている地域の事例や課題を議論する第16回「全国ほんもの体験フォーラムin南信州」が3月19日、長野県飯田市のシルクホテルを会場にオンラインで開催された。主催は、全国ほんもの体験フォーラムin南信州実行委員会。共催は全国ほんもの体験ネットワーク、全国教育民泊協会。登壇者らの受け入れは同じく飯田市の南信州観光公社が担った。
全国ほんもの体験フォーラムは、2019年3月に長崎県五島市で開催されてからコロナ禍を受けて20年、21年と延期されていた。今回は、基調講演者、コーディネーター、パネリストのみが参加し、ライブ配信。約800人が視聴した。
冒頭、開催地代表として飯田市長の佐藤健氏による来賓あいさつに続き、日本修学旅行協会事務局長の高野満博氏による基調講演と、体験教育企画社長の藤澤安良氏による基調提案を行った。
高野氏のテーマは、「ポストコロナ時代、教育旅行はどう変わるか」で、コロナ禍による教育旅行の中止のため、生徒のモチベーションが低下していると報告。その中で最近では、教育旅行は通常の学校生活ではできない学びの場として再認識され、教育旅行の実施率が改善していると指摘した。
高野氏による基調講演
藤澤氏のテーマは、「ほんもの体験は地域を変え、日本を変える~コロナ禍を超えて~」で、コロナにより(体験型の修学旅行ではない)通常の修学旅行を行った学校もあったが、「感動が薄い」として最近、旅行会社から農家民泊などができる地域がないか、という問い合わせが増えているなどと述べた。
藤澤社長
藤澤氏をコーディネーターに課題別分科会も開催した。第1会合のテーマは「SDGs教育プログラムの実践と効果、そしてファシリテーター育成」。第2会合のテーマは「withコロナ、ポストコロナの農林漁家泊の戦略と後継者づくり」。第3会合のテーマは、「これからのインバウンド誘致を考える」。
フォーラムの閉会にあたり藤澤氏は、教育旅行の取り組みで変えていかなければならない大きな問題として、日本人の労働に対するモチベーションが先進諸国の中で低いという問題がある。これを引き上げるために必要なことは子どもたちへの教育とともに、大人たちの体験活動が必要。心高まる旅を極めていくこと、人こそ財産、人こそ資源であり、そうした思いをもって体験型観光、体験教育旅行に取り組む地域は今後も奮闘してほしい、などと総括した。
希望者には、今回のオンラインフォーラムの記録データを有償で提供する。価格は税込み2千円。
記録データについての問い合わせ先は、南信州観光公社TEL0265(28)1747、もしくはEメール(oyorite@mstb.jp)。
課題別分科会第3セッションの様子