秋田県は1日、組織改編により「観光文化スポーツ部」を新設した。観光、文化、スポーツの振興はいずれも交流人口の拡大につながるとして、各部に分かれていた担当課を再編し、施策の相乗効果が発揮できるように一元化した。最大の狙いは、観光施策の推進態勢の強化。県は観光を「総合戦略産業」と位置づけており、文化、スポーツだけでなく、関係部署との連携を強化し、一体的な施策の展開を目指す。
観光文化スポーツ部は、観光戦略課、観光振興課、秋田うまいもの販売課、交通政策課、文化振興課、スポーツ振興課、イメージアップ推進室で構成。定員は110人。再編前は、観光施策は産業労働部観光課、スポーツ施策は企画振興部スポーツ振興課、文化施策は生活環境部県民文化政策課などに分かれていた。
県は観光について「経済波及効果や雇用創出力が大きく、県の将来の発展を支える」「農林水産業、食品製造業などさまざまな業種から成り立つ」として総合戦略産業と位置づける。文化、スポーツの関係施策と連携させ、交流人口の拡大を通じた地域の活性化に結び付ける。
同部には観光、文化、スポーツの施策だけでなく、県のイメージアップ戦略、農産物や加工食品の販売促進、交通体系の充実などの施策を担当する部署も統合。スピード感、一体感のある施策の実施を目指し、本庁と地方振興局、県と市町村の連携を強化する。
秋田県の観光振興では、中長期的な課題のほか、東日本大震災からの観光需要の本格的な回復や、2013年の冬季国体、秋田デスティネーションキャンペーン、14年の国民文化祭などの大型イベントの成功が課題となっており、組織改編の効果が期待されている。
また、観光文化スポーツ部の部長には、民間の人材を起用した。部長に就任したのはJTB出身の前田和久氏。前JTBコミュニケーションズ社長をはじめJTBの要職を務めた経歴を持つ。