
商談会を開催した
福島県観光物産交流協会は11日、東京都千代田区の都道府県会館で、福島の観光復興に向けた取り組みの一環として、クラブツーリズム(クラツー)と地域観光素材についての商談会を開いた。風評被害に苦しむ会津地方の観光事業者のほか、南相馬市の行政関係者ら21団体が参加。選りすぐりの春夏の観光素材や現地情報をクラツーの商品造成担当者に伝え、送客への協力を訴えた。
福島県は東電の原発事故にかかわる放射能問題により観光面への風評被害が続いており、首都圏などからの観光客が戻らない状況にある。テーマ性の高い旅行商品を提供し、シニア層を中心にリピーターを多く持つクラツーとの商談会を行うことで、より即効性の高い形で福島への誘客を後押しできると考え企画した。「人が来ることで福島は元気になるが、ただ待っているだけでは来てもらえない。福島に来る必然を福島の人間が作っていかなければならない」と商談会を企画した同協会の黒澤文雄・統括部長。
福島県は今年、大型観光キャンペーンを予定していたことから、キャンペーン本番に向け一昨年から県内の観光関係者を対象に着地型観光素材開発のための人材育成講座を実施。講座の成果発表の場として昨年3月に予定していた着地型観光素材についての商談会が東日本大震災の発生で中止となっていたことも、商談会の開催を後押しした。
商談会にはクラツーの首都圏の9つの商品造成箇所から担当者が参加。福島県側の参加者から現地の観光入り込みの状況について説明を受けたほか、各事業者や団体が持ち込んだ個別の旅行素材について提案を受けたり、商品化へのアドバイスを行ったりした。
商談会に参加した福島県内の関係者のうち南相馬市は、地震、津波の被災状況をガイド付きで見学したり、相馬野馬追に関する関連スポットを見学する復興支援ツアーを提案。同市の岡田淳一観光交流課長は、「南相馬市は警戒区域や計画的避難区域もあり、今すぐに観光と言える状況にはないが、無謀にも参加させていただいた。ぜひ現状を知ってもらえればありがたい」と語った。
クラブツーリズムの小笠原護・地域交流部長は、「当社の首都圏発バス旅行のうち7割が南東北方面商品であり、中でも福島方面商品はその主力。福島の観光復興は当社の首都圏販売にも大きくかかわってくる。桜観賞のツアーなど定番の商品でも今までは集客できたが、風評の影響が大きい今はそれだけでは誘客できない。限定感ある着地型観光素材などを提案してもらうことで定番の素材と組み合わせて商品化し、福島の観光が元気になる後押しができれば」と語った。
同観光物産交流協会では、30日にも農協観光との商談会を行う予定。その他の旅行会社などとも観光客の入り込みの状況を見ながら商談会などを実施していきたい考えだ。

商談会を開催した