
説明会には県の観光PR隊「HAPPYふくしま隊」も登場。県観光の魅力を楽しく伝えた
東日本大震災と原発事故の教訓から将来の日本のあるべき姿を考える「ホープツーリズム」。福島県が推進している事業で、教育旅行のプログラムとして採用する学校も増えている。福島県は1月31日、東京のホテルメトロポリタンエドモントで観光説明会を開き、同ツーリズムの概要を説明。教育旅行のほか、企業研修や一般の旅行にも取り入れるなど、商品化を集まった旅行業者らに呼び掛けた。
帰還困難地域や避難指示解除後の地域など、被災地の生の現場を見るとともに、復興に取り組むさまざまな立場の人たちの話を聞き、将来の日本を考える―。福島県は、このホープツーリズムを同県ならではのプログラムとして普及に力を入れている。
説明会で同県観光交流課の佐藤良作副主査は「今年3月で震災から8年を迎える。復興が進む光の部分がある一方、道半ばの影の部分がある。ホープツーリズムは、その両面を見てもらうとともに、復興に挑戦するさまざまな分野の人たちと対話をしてもらう。そして、この問題を他人事ではなく、自分事として考えてもらう。福島の出来事を教訓に、将来の自分や地域、そして日本にどう生かすのかを考えてもらうのがこのプログラムの肝だ」と述べた。
視察箇所は帰還困難区域や避難指示解除後の地域。「コミュタン福島」「リプルンふくしま」「東京電力廃炉資料館」など、事故の概要や県の現状を学ぶ施設もある。
対話は自治体や地域づくり団体、医療、農業、漁業、学校、地域住民など、参加者の要望に応じてさまざまな立場の人々を県側がコーディネートする。東京電力職員と直接対話をする機会も設ける。
既に高校を中心とした教育旅行で取り入れられている。実施校のリストを見ると、いわゆる進学校と呼ばれる高校が多いのが特徴だ。
今後は教育旅行に限らず、企業の研修旅行や一般のツアーにも組み込んでもらうよう旅行会社などに働きかける。県の担当者は「広島、長崎、沖縄など、負の歴史がある地域が学びの聖地として定着した。福島でも新しいツーリズムを定着させたい。(原発事故があった)浜通りに人を呼ぶとともに、効果を全県に波及させたい」と述べた。
同県観光交流局の宮村安治局長は「震災から間もなく8年。官民挙げて努力しているが、(観光客数が)震災前の水準に戻らない。ただ、皆さま方の支援で右肩上がりで推移している。今後も復興へのご協力を」と述べた。
説明会には県の観光PR隊「HAPPYふくしま隊」も登場。県観光の魅力を楽しく伝えた