福島、二本松両市の旅館・ホテルと飲食店が手を組み、泊食分離の試みを始めた。旅館・ホテルによる宿泊客の囲い込みを解消、外に出すことでまちのにぎわいを取り戻すとともに、飲食店の利用を促すことで、地域経済の活性化を図るのが狙い。泊食分離は旅館単体や温泉地で試行されているが、広域エリアでの取り組みは珍しく、成果が注目される。
福島、二本松、相馬、伊達の4市が取り組む観光圏整備事業(やさしさと自然の温もりふくしま観光圏)の一環で「ふくしま『食』バラエティ宿泊パック」と銘打ち、3月31日から発売した。
宿泊パックが利用できるのは飯坂、土湯、岳の各温泉地と福島市内の旅館・ホテル、飲食店で、合わせて旅館・ホテルは約50軒、飲食店約80軒が参加している。
飯坂の場合、旅館・ホテルはまごころの宿宝龍荘、陽日の郷あづま館など8軒、飲食店は5軒。土湯は風望天流太子の湯山水荘など6軒、飲食店7軒が名を連ねている。
料金は宿泊(1泊朝食付き)と飲食店で利用できるフードチケット(4枚)を付け、9千円、1万1千円、1万3千円の3コースを設定した。いずれも消費税込み、入湯税別。
消費者は観光協会などに置かれているパンフレットを見て、泊まりたい旅館・ホテルに直接申し込む。福島市・相馬市・二本松市・伊達市観光圏協議会のホームページにも同様のパンフが掲載されている。
フードチケットは宿泊先で受け取り、参加する飲食店の中から好きな店を選ぶ仕組み。各飲食店はチケットの枚数に合わせたメニューも用意している。「チケットは1枚当たり1千円」(福島市観光課)で、宿泊先での夕食にも使える。有効期間は発行日から10日間とした。
同協議会は旅館・ホテルの協力を得て館内にアンケート箱を設置し、宿泊客の生の声を集め、今後に生かす。また、秋をめどにパンフレットなどを更新し、最新情報を提供する。
パンフレット