金沢市は8月28日、東京・丸の内の東京ステーションホテルで、旅行会社やメディアなどを対象に観光セミナーを開催した。10月からの「北陸デスティネーションキャンペーン(DC)」を控え、商談会や交流会は熱気を帯びた。
主催者を代表してあいさつした上寺武志・経済局長は、「能登半島地震で観光客は減少したものの、3月の北陸新幹線金沢・敦賀間開業で復興機運が高まり、観光客が再び増加している」との認識を示した上で、「市からは33の事業者がセラーとして参加している。商品造成につなげ、宣伝してほしい」と期待した。
市のプレゼンテーションによると、23年の宿泊客数は335万人となり、コロナ禍前19年の343万人に迫っている。宿泊施設の客室数は1万4526室で、19年の1万1834室を大きく上回っている。「中心市街地片町に30年度にラグジュアリーホテルがオープン予定」という。
また、「教育旅行は金沢がおすすめ」とアピール。金沢城を中心に半径2キロ以内に有名観光地が収まるコンパクトシティとして、(1)行動範囲もコンパクトに収まり、安心安全に班別行動ができる(2)歴史文化に触れる体験学習も豊富―などの点を挙げた。
教育旅行誘致のため、手配した旅行会社に対し奨励金を交付する制度も設けた。金額は生徒1人あたり2千人で、人数上限なしという。
一般公開されてから今年で150周年を迎える兼六園。協同組合兼六園観光協会は記念事業として、英語で楽しむ茶会(参加料税込み800円)や、古い写真を使った看板を配置し、見比べてもらう「兼六園今昔」などのほか、北陸DCに合わせ、能や狂言などを観賞しながら日本料理を味わったり、兼六園の夜景とカニ料理を組み合わせたスペシャルプログラムも用意する。
「150周年と新幹線の敦賀延伸を金沢観光復活の起爆剤にしたい」と協会の宇田直人理事長。ガイド事業のDX化やインバウンド向け体験コンテンツの開発に意欲を示した。