日本最大の前方後円墳「仁徳天皇陵古墳」(堺市)を含む、大阪府南部の「百舌鳥(もず)・古市古墳群」が世界文化遺産に登録された。大阪府初の世界遺産登録で、観光振興にも弾みがつきそうだ。
6日、アゼルバイジャンのバクーで開催されていた第43回世界遺産委員会で決まった。国内の世界遺産としては23件目(文化遺産19件、自然遺産4件)で、7年連続での登録となった。また、天皇や皇族が葬られたとして宮内庁が管理する「陵墓」の登録は初めて。
百舌鳥・古市古墳群は堺市と羽曳野市、藤井寺市にまたがる二つの古墳群で、構成資産は45件49基の古墳。
文化庁によると、古墳時代の最盛期だった4世紀後半から5世紀後半にかけて、当時の政治・文化の中心地の一つだった大阪平野に築造された。墳丘の長さが486メートルある仁徳天皇陵古墳や、425メートルの応神天皇陵古墳が代表的。
「土製建造物のたぐいまれな技術的到達点を表し、墳墓によって権力を象徴した日本列島の人々の歴史を物語る顕著な物証」と同庁。
世界遺産登録の影響からか、仁徳天皇陵古墳には7日朝から多くの観光客が訪れ、早くもにぎわいを見せている。地元の百貨店でも古墳の特設コーナーが設けられ、お祝いムードに包まれている。観光関係者は「ナニワの世界遺産というインパクトを生かし、観光誘客につながるよう情報発信していきたい」と話している。
柴山昌彦文部科学相のコメント
百舌鳥・古市古墳群が人類全体の貴重な財産として、世界遺産一覧表に記載されることが決定されたことを大変喜ばしく思います。
本資産は、世界最大の巨大前方後円墳である仁徳天皇陵古墳を含む大きさ、形状さまざまな古墳群として、土で造られた建造物群であり、古墳時代のわが国独自の文化を物語るものです。
文部科学省としては、地元の関係各位および関係省庁と連携しながら、人類の共通の宝である貴重な世界遺産の保護に万全を期し、後世に確実に引き継ぐとともに、その価値を積極的に発信してまいります。
百舌鳥・古市古墳群の仁徳天皇陵古墳