全国産業観光推進協議会は3日、「産業観光まちづくり大賞」を発表した。5回目となる今回は4団体が受賞し、金賞には兵庫県姫路市が選ばれた。表彰式は13日、函館市で開かれる「全国産業観光フォーラムinはこだて」の開会式で行われる。
同大賞は産業観光による観光まちづくりを実践し、他の地域の模範となる優れた事例を表彰する制度で、07年度に創設。産業観光に取り組む自治体や観光協会、商工会議所などを対象に幅広く募集し、(1)受け入れ側と訪問側双方にメリットがあるビジネスモデルになっているか(2)継続性があるか──を主な評価の視点として審査する。
金賞に選ばれた姫路市は戦後、鉄鋼や機械、造船、食品など多種多様な企業が集積し、現在、31施設が見学、体験の受け入れを行っている。
市は昨年からの、姫路城修理工事期間中の集客対策として産業観光に着目。修理そのものを観光資源にしようと「大天守修理見学施設」(天空の白鷺)をオープン。「逆転の発想が産業観光の新しい手法と可能性を開いた」と同協議会。
このほか、(1)行政はもとより、商工会議所や企業、市民団体など多様な主体が連携して産業観光の発展に熱心に取り組んでいる(2)地域がビジネスモデルをしっかり持っている(3)鍛冶町や紺屋町などの城郭を核とした整然とした街並みがあり、これらの資源を生かした新たなまちづくりも進んでいる──などが評価された。
銀賞は会津若松商工会議所(福島県)、特別賞は岡谷市・岡谷商工会議所・市観光協会(長野県)、奨励賞は丹後ええもん工房(京都府)が受賞した。
会津若松市は地域の産業を支えた歴史的発電所などを対象に「丹念なワークショップやモニターツアーを頻繁に実施するなど、地域を挙げた取り組みを続けてきた」(同協議会)。観光客数は1992年の381万6千人をピークに減少。03年には269万7千人まで落ち込んでいたが、04年から産業観光に取り組み始めた結果、07年には349万3千人まで回復したという。
姫路城修理見学施設の8階からの見学風景