環境省、初の全国温泉地サミット開催


約70の自治体首長らが参加したサミット

約70の自治体首長らが参加したサミット

 環境省は22日、東京都千代田区の有楽町朝日ホールで、初めてとなる「全国温泉地サミット」を開催した。オブザーバーを含め、約70の温泉立地市町の首長らが集まり、温泉地の現状や活性化策などを議論した。

 サミットは、「全国温泉地自治体首長会議」と「温泉地活性化に向けたシンポジウム」の2部構成で開催。冒頭あいさつした同省の鬼木誠・大臣政務官は「各地の現状や(活性化の)取り組みを共有し、温泉地発展に向けた契機としたい」と抱負を述べた。

 同会議には温泉立地市町を代表して約30の市長や町長らが参加。

 まず、新潟県妙高市の入村明市長、大分県竹田市の首藤勝次市長が事例を紹介。入村氏は「妙高型健康保養地プログラム」の実施、首藤氏は予防医療と観光振興を目指す「温泉療養保健制度」の創設・実施と、活性化に向け温泉力地域協力協定の締結やANAセールスと予防医学をテーマにした商品企画・販売に取り組んでいることなどを話した。

 意見交換では、さまざまな取り組みが紹介されたほか、国に対しての意見・要望も出た。

 「温泉街を歩いてもらえるよう町の再整備や泊食分離などに取り組んでいる。若い女性客が増え、夕食時には“夕食難民”という言葉も生まれるほど活況を呈してきている」(群馬県草津町の黒岩信忠町長)、「(温泉から湧出する)豊富なメタンガスを活用した発電システムの構築に取り組んでいる。温泉の新たな活用として期待している」(静岡県島田市の染谷絹代市長)、「箱根山の噴火で風評被害が出たが、国の経済的支援が一切ない。リスクに対する支援制度を真剣に考えてもらいたい」(神奈川県箱根町の山口昇士町長)、「観光庁など他省庁と連携し、(温泉地の)インバウンド対応やタトゥー問題も取り上げてほしい」(群馬県みなかみ町の岸良昌町長)。

 こうした意見を踏まえ、奥主喜美・自然環境局長は「このサミットを継続し、温泉地力などをテーマに今後も話し合っていきたい」と述べた。

 第2部のシンポジウムでは、鬼木政務官が温泉地活性化プロジェクトを発表。温泉を生かした地域の魅力向上のため、新型湯治プランの策定や未利用熱の有効活用などを挙げるとともに、訪日外客を視野に入れた施策も展開すると強調。

 基調講演した立教大名誉教授の前田勇氏は、観光経済新聞社主催の「にっぽんの温泉100選」のデータをもとに人気温泉地の推移などを分析を交えて紹介。その上で、顧客獲得の基本は「古・近・新」とした。

 古は古くからの利用者・なじみ客に再利用してもらうための働きかけ、近は時間や距離の面で来館が比較的容易な人たちに平易に利用してもらうための売り込み、新は若者や外客に旅館に入ってもらう機会を作ること—で、「温泉利用体験機会の増大を図ること、温泉への理解を求めることが課題」と訴えた。

 その後のパネル討論には大分県別府市の長野恭紘市長、つたや肘折ホテルの柿崎雄一社長、KNT—CTホールディングス国内旅行部の中村修部長らが出席し、活性化に向け意見を交わした。中村氏は富山県・宇奈月温泉での「百名月物語」を取り上げ、月を観光資源とするユニークな試みを紹介した。

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