環境省は6月29日、東京都内で「国立公園満喫プロジェクト有識者会議」(座長、涌井史郎・東京都市大特別教授)を開き、先行8公園が目標達成状況や課題などを自己評価した「中間評価」について意見を交わした。
冒頭あいさつした中川雅治環境相は、「2020年までに訪日外国人の国立公園利用者数1千万人を目指している。目標達成に向け加速していくために助言をいただきたい」と述べた。
18年度は同プロジェクトの中間年度にあたる。会議は現状を分析し、今後の取り組みを生かす目的で開催。委員7人が5~6月に実施した現地視察を踏まえ、8公園の各地域協議会がまとめた自己評価の内容を検証、意見交換した。
例えば、十和田八幡平国立公園は十和田湖の湖水、八甲田、八幡平、岩手山の火山、湯治場などをテーマに取り組みを進め、外国人利用者を15年の7千人から20年には3倍の2万1千人に拡大することを目指す。
中間評価によると、外国人利用者数は16年2万2千人、17年は1万9千人で、「年度ごとに誤差はあるものの、数字的な目標は達成している」とした。また、成果として八甲田ロープウェー駐車場の拡張や山頂展望デッキの整備、2次交通改善のための十和田湖畔と八幡平山頂を結ぶ観光路線バスの運行などを挙げた。
加速化・強化が必要な取り組みとして、個人旅行者がストレスフリーに周遊できる利用環境の整備が課題とし、休屋休平地区の廃屋対策などに言及した。
8月の会議を経て、年度内には8公園のステップアッププログラムの見直しを行う方針だ。
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涌井氏以外の会議委員は次の通り(敬称略)。
ロバート・キャンベル(国文学研究資料館長)、石井至(石井兄弟社社長)、江崎貴久(旅館海月女将)、デービッド・アトキンソン(小西美術工芸社社長)、星野佳路(星野リゾート代表)、野添ちかこ(温泉と宿のライター)。
有識者会議であいさつする中川環境相