環境省は7日、東日本大震災で被災した自然公園を再編整備する「三陸復興国立公園」(仮称)の創設を核とした「グリーン復興ビジョン」を発表した。観光客の誘致も視野に入れており、実現すれば東北観光にとって大きな起爆剤となりそうだ。
三陸復興国立公園構想は、昨年5月中旬に同省が公表した「東日本大震災からの復興に向けた基本的対応方針」に盛り込まれた。また、7月下旬には東日本大震災復興対策本部が「復興の基本方針」を策定。この中で、三陸復興国立公園について、「防災上の配慮を行いつつ、被災した公園施設の再整備や長距離海岸トレイルの新規整備を行うことについて検討する」とした。
同省はこうした動きを受け、グリーン復興のビジョンの策定を進めていた。
ビジョンでは、三陸復興国立公園は陸中海岸国立公園(岩手・宮城)を中心に、2013年度中に創設する。区域は青森県八戸市の蕪島から宮城県石巻市・女川町の牡鹿半島まで及び、その周辺の自然公園を対象に、自然景観や利用状況の調査をした上で再編するとしている。
三陸復興国立公園内には長距離自然歩道「東北海岸トレイル」を整備する。蕪島から福島県相馬市の松川浦までを対象に、かつて使用されていた道や林道などを活用。周辺には標識やトイレ、案内所などの関連施設を整備し、観光客らの利用を促進する。
また、ビジョンは「復興エコツーリズム」の推進を提唱した。推進の際は「食」などの資源の活用、漁業者との連携による小型漁船の活用や漁業体験など、「農林水産業と連携して進め、幅広い復興に貢献すると共に、震災の体験の語り継ぎや被災した地域のガイドツアー、震災の痕跡・地質や化石などをもとに展開されるジオツアーと連携して取り組む」考えを示した。