
LCC(格安航空会社)が2012年に国内に就航して約5年が経った。JTB総合研究所は、この5年間で旅行者のLCCに対する意識がどう変化したのかを探る調査を実施した。
12年以降の国内旅行における航空機利用の旅行者のうち、国内線LCCの利用経験のある人の割合は25・5%で、2年前の前回調査から3・0ポイント増加した。前回の調査時ほど伸びは大きくないが、引き続き増加傾向となった。
今回の調査では、初期のLCC利用者に多かった29歳以下の男性に代わり、29歳以下と30代の女性や50代男性の利用率が上昇し、より幅広い層に広がっている様子が分かった。しかしながら50歳以上の女性の利用率は横ばい。
国内線でLCCを利用した理由を直近の経験から聞いたところ、89・0%が「価格が安かったから」となり、前回の調査結果(90・1%)より微減とはいえ、他の理由より群を抜き高い結果だった。やはりLCCの最大の魅力は「価格」と言えるだろう。価格の次に高かった理由は「目的地への到着時間がちょうど良かったから」で15・7%だった=図表1。「LCCに乗ってみたかったから」「キャンペーンで特別価格になっていたから」は前回調査より減少し、またテレビやネットニュースの影響も少なくなった。LCCが話題性だけではなく、着実に人々の移動の足として広がってきた様子がうかがえる。
男女別でみると、男性では「行きやすい空港にLCCが就航した」など利用のしやすさが、女性では「キャンペーンで特別価格になっていた」「参加したパッケージツアーがLCCを利用したから」など価格や選択肢の広がりが利用を後押ししているようだ。
LCCに対する利用者の評価は国内線、国際線ともに、前回調査に比べ「減便や休便が多い」「最近、価格が高くなってきた」という項目が減少し、評価が上がっている=図表2。一方、空港や機内での人的サービスについては、対応が良いと感じている人は減少している。「従来の航空会社の方が安心できる」は上昇している。LCCのブーム的な利用が落ち着き、他の航空会社とのサービスの比較や自分にとっての心地よさで評価をする段階になってきたと言える。
直近の旅行で実際に不便だと感じたことを聞いた結果では、国内線も国際線とも遅延、欠航以外はほとんどの項目で14年から減少し続けている。