長野県駒ケ根市は12日、市内の旅館・ホテルなど11施設でつくる早太郎温泉事業協同組合と「災害時における宿泊施設の提供に関する協定」を結んだ。危機管理課によると、市が宿泊施設とこのような協定を結ぶのは初めて。
同日、市役所で伊藤祐三市長と同組合の宇佐美宗夫理事長が協定書に調印した。
市は現在、地区の集会所など105カ所を指定避難所として定めているが、新型コロナウイルスに感染し、重症化リスクのある被災者が避難所に滞在し続けることは感染リスクが高いことから、新たな避難場所として旅館・ホテルを活用することにした。不特定多数との接触を減らす狙いもある。
対象となるのは高齢者や基礎疾患を有する人、妊産婦など避難所生活に配慮が必要な市民で、旅館・ホテルを2次的避難所として提供する。「感染対策により配慮した避難生活を送ることができる」という。
地震や風水害などの災害時に市が有償で旅館・ホテルを借り上げるが、協定では7施設が対象となる。ちなみに、災害救助法が適用されると国が費用を負担する。
伊藤市長は「コロナ禍で感染対策に万全を期す必要がある。宿泊施設を避難所として貸していただけるのは心強い」、宇佐美理事長は「これまで地域の人に支えられてきたので、災害時には被災者が安心して生活できるよう最善の努力をする」と話している。
協定書を手にする宇佐美理事長(左)と伊藤市長