日本温泉協会(笹本森雄会長)が設置した有識者会議「温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けた検討会」の第2回会合が15日、東京都千代田区の同協会会議室で開かれた。早期登録に向けた中間提言の大枠としてたたき台が示され、委員が意見交換した。登録の意義などを盛り込んだ中間提言をまとめた上で、政府に登録申請の準備、温泉文化の保護措置に関する検討などを求めたい考えだ。
検討会は4月28日に初会合を開催。元・文化庁長官で多摩美術大学理事長の青柳正規氏を座長に委員8人と、温泉に詳しい学識経験者の専門委員3人がメンバー。登録に必要となる温泉文化の定義や保護措置の在り方について議論する。
中間提言のたたき台では、温泉文化について、多様な泉質による効能を享受するためのさまざまな入浴法、温泉熱の生活への利用、温泉にまつわる行事など日本人にとって不可欠な文化と指摘。旅館・ホテルなどの温泉事業者は、人口減少や後継者不足などで厳しい状況にあり、温泉文化を次代へ継承するには登録が必要と訴えている。
政府に対しては、登録の意義を踏まえて、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への申請の準備、文化財保護法による温泉文化の保護措置の検討、温泉文化に関する調査・研究、情報発信などを要望していく方向だ。
登録を推進する組織としては、日本温泉協会などを発起人に民間団体・企業で構成する全国推進協議会、賛同する都道府県でつくる知事の会、与党の国会議員による議員連盟がそれぞれに発足。2024年2月の国内候補決定、ユネスコへの申請を経て、26年11月の登録実現を目指すスケジュールを見据えて連携して活動している。
第2回検討会で示された中間提言案の大枠は次の通り。
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