
鷹の湯温泉での意見交換会
日本温泉協会(大山正雄会長)の地熱対策特別委員会は11月21、22の両日、秋田県湯沢市の秋ノ宮温泉郷で、標高870メートルに建設中の山葵沢地熱発電所を視察。温泉協会から大山会長、中澤敬・地熱対策特別委員長をはじめ、地熱発電開発の大泉博幹・湯沢発電社長、協会役員、工事関係者ら15人が出席。鷹の湯温泉では事業者が建設計画の概要を説明、特別委員会の役員らと意見交換会を行った。
温泉協会の大山会長は「地熱発電による深度2千メートルに分布する200度の熱水と熱量を大量に採取し、そして使用後の低温熱水に硫酸などの薬品を混入し、地下深部への排水が温泉枯渇や変質を危惧している」と指摘。
これに対し開発業者の湯沢地熱の担当者は「山葵沢地熱発電は周辺の温泉とは異なった深部の熱水を利用するなど周辺環境へ配慮をしている」と説明。専門的な知見をもとに活発な意見交換が行われた。温泉協会では引き続き情報の開示を要望した。
その発電出力は4・2万キロワットと全国第4位の規模となることから、地熱発電(業)界から期待が高まっている。一方、半径4キロ内に分布する発電出力が山葵沢の3分の2の、上の岱地熱発電所、泥湯温泉、秋ノ宮温泉、および日本三大霊地の一つといわれる川原毛噴気地熱地帯への影響が懸念される。
日本の地熱発電所は1956年に松川(岩手県八幡平)に始まり、2000年までに全国16カ所で開発・稼働している。山葵沢地熱発電は予定の19年に稼働すれば19年ぶりとなる。