栃木県の観光を考えるシンポジウム 宇都宮共和大学、宇都宮市が共催


会場の様子

 宇都宮共和大学と宇都宮市は5日、栃木県の観光やインバウンド戦略を食や農業、産業などから考えるシンポジウムを開催した。観光地域づくりや栃木県の魅力発信などをテーマに、さまざまなデータや出席者の知見などを交えて提言や議論を行った。

 基調講演では「サービス経済社会に活かすインバウンド観光―観光地域づくりの要点」と題し、公益財団法人日本交通公社観光政策研究部長・山田雄一氏が観光地域づくりへの提言を行った。山田氏は、「大規模な投資を要する製造業などとは異なり、観光・サービス業は個人でも高い価値を創造でき、需要に供給で応じることで付加価値が高まっていく。このような特性を持つ産業は他にはない」と分析。

 また、観光振興を促進し、ホスピタリティ産業(宿泊や飲食などを観光客や旅客に対して提供する)が活性化すると若年層、特に若年の女性層の地方部から都市部への人口移動が抑制されるデータも提示した。

 コロナ禍前に見られた、他国と比べ観光収入の増加が宿泊・飲食サービスの生産額と連動せず、同業種で非正規雇用者を多く雇用したことで賃金水準が低下する相関にも言及し、「京都市の例だが、多くの観光客の来訪で運輸・郵便業、ホテルの建設で建設業などは生産を増やしてもうかったが、宿泊・サービス業は一切生産を増やしていない」と指摘した。


山田氏

 日本のホスピタリティ産業が持つ可能性、内包している課題を挙げた上で、山田氏は「各施設にとって相性の良い、満足度の高い顧客を何度も、より多く呼び込むことが重要である」と主張した。

 山田氏は旅行の世代交代にも触れ、「2019年の延べ泊数が最も多い年代は20代だ。旅行市場の主役は団塊の世代から20、30代を中心とするミレニアル世代やZ世代へとすでに変わっているので、新しい感性を持つ若年層への対応が鍵になる」と述べた。その他、各観光地のブランド力の強化、繁閑の平準化に向けたMICEの有効的な活用などを訴えた。

 パネルディスカッションでは「食と農、産業と文化、高度先進医療とコンベンションの魅力発信」と題し、山田氏や大田原ツーリズム代表取締役社長・藤井大介氏、ザ・リッツカールトン日光セールス&マーケティング部長・田中基規氏などをパネリストに、経済や宿泊、医療や教育など、さまざまな分野から栃木県の観光についての意見が交わされた。

 栃木県経済同友会代表理事の松下正直氏は個人的な見解とした上で「世界遺産がある日光、皇族のご静養地である那須を中心に、他の観光地を含め富裕層のインバウンドを引き込むための施策が必要。また、日光を、例えば箱根と比較すると利便性の低さが弱点で、これを民間だけで解決するのは難しい。観光業は組織化、企業化するのが難しい部分もあり、官民挙げて観光業を発展させていく必要があるのでは」と述べた。

 山田氏は「住民がどんな暮らしをしているのかが観光的な魅力とリンクしている。トレッキングなど自然のアクティビティを売りたいなら、まず地元住民がそれらを楽しんでいることが重要。5~10年あれば地元住民を中心に新しいライフスタイルは作れる」と語り、「その上で高付加価値の体験プログラムやサービスを高所得者層にきちんと提供していける」と見解を述べた。


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