栃木県日光市の川治温泉は現在、温泉街の新しい魅力づくりを進めている。川治、五十里(いかり)両ダム湖とその下流域が持つ「水のふるさと」としてのイメージや、温泉、自然などの天然資源に着目。日光市の遊歩道整備などのハード整備に合わせ、旅館組合らが自然体験やヘルスツーリズムに関するメニューの開発などソフト面の整備を進めている。
11、12日には首都圏や栃木県内の旅行会社関係者らを対象としたモニターツアーを行い、専用のポールを手に装着して歩く「ノルディックウオーク」などの自然体験メニューや地元食材を使ったオリジナルの食メニューについて、商品化のための意見を求めた。
モニターツアーで参加者らは、ポールを付けて温泉街を流れる男鹿川沿いの遊歩道を散策し、上半身のエクササイズにも効果があるというノルディックウオークの運動効果を体感したほか、川や周辺の紅葉の眺めから得られる「癒し効果」についても検証。川治ダムのダム湖でのカヌー体験なども行った。
体験メニューの合間には、ご当地メニューとして開発した、日光産ほうれん草入りの肉まん風田舎まんじゅうや水をイメージしたクリスタルゼリーを添えた豆乳チーズケーキの試食会も開かれた。
参加者からは、「周辺の鬼怒川、湯西川の両温泉にはない楽しみ方がありそう」「温泉街の中心通り沿いとは違う、『男鹿川側』の魅力を感じた」との意見のほか、「個別のメニューは魅力的だが、これらをどのようにつなげていくのかに工夫が必要」「豊富な温泉をもっと生かしたほうが良い」などのアドバイスが出た。
モニターツアーの成果は、12月中旬に開くシンポジウムで発表する。川治温泉の新しいキャッチコピーも同時に公表する予定だ。
一連の取り組みは、国土交通省の「水源地域活性化モデル事業」を活用したもの。旅館組合を中心に立ち上げた「川治温泉“水のふるさと”いきいき発見推進協議会」が中心となり自然体験プログラムの開発などを進めている。このうちノルディックウオークについては栃木県内で初めて、本格的な導入に向けた取り組みを開始。新たな誘客のカギとして指導者養成講習の実施やウオーキングコースの整備を進めている。
ノルディックウオークの体験