東海村、「アトムツーリズム」推進


見学用施設のアトムワールド。ロビーには各種の核燃料集合体や炉心の模型を展示

見学用施設のアトムワールド。ロビーには各種の核燃料集合体や炉心の模型を展示

 原子力にかかわる研究施設や事業所が集まる茨城県東海村が、原子力をテーマとした産業観光「アトムツーリズム」を官民挙げて推進している。原子力発電を支える燃料の製造工場、世界最先端の研究に利用されている大強度陽子加速器施設などが観光資源だ。他の地域にはない施設群を生かし、「学び」の体験を提供。中高生の学習旅行を中心に誘致を進めていく。

 東海村の原子力とのかかわりは1957年の研究所開設に始まる。同年には国内で初めて研究炉に原子力の火が灯った。研究施設や事業所が相次ぎ進出し、原子力の博物館も開設されるなど、“原子力平和利用のまち”として知られてきた。

 村は約6キロ四方の広さだが、人口は約3万7千人に上る。原子力産業の集積による人口増加や税収効果があり、財政力指数や年少人口率、出生率は茨城県内の自治体でトップだ。特に福祉政策を重視したまちづくりを進めてきたという。

 弘法大師創建の「村松山虚空蔵堂」や特産の「ほしいも」は有名だが、これまで観光施策は重視されてこなかった。アトムツーリズムへの機運が高まったのは2年ほど前。関係者による連絡調整会議が設置されてからだ。

 東海村企画政策部政策推進課の鈴木亮一氏は「東海村の原子力産業を知的な好奇心を満たす資源としてもっと活用すべきだ。科学の未来を担う子どもたちの学習などに役立ててもらい、村のブランドイメージを高める必要がある」と語る。

 村観光協会長で食品加工業を営む井坂文明氏も「村は財政的に恵まれてきたが、地元商工業の将来には不安もある。農業体験や特産品の魅力づくりに取り組み、アトムツーリズムと合わせて地域を活性化させたい」。

 アトムツーリズムを推進する上で最大の強みは原子力関係の事業所や研究施設、展示館が集積されていること。村内で見学が可能な施設は主に9カ所。事業所などは社会貢献の観点から見学者の受け入れに積極的だ。

 誘致のメーンターゲットには中高生を設定。一般的な修学旅行というより科学教育の推進校や理系クラスなどの校外学習を想定している。中高生を中心に一般の団体客にも対象を広げていく。

 総合窓口として東海村アトムツーリズムインフォメーションセンター(TEL029・225・5264)を開設。業務をJTB関東法人営業水戸支店に委託している。

見学用施設のアトムワールド。ロビーには各種の核燃料集合体や炉心の模型を展示
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