東商観光委員会、都に観光振興で緊急提言 


多羅尾副知事(右)に提言書を手渡す田川委員長=6日、都庁で

5項目の実現求める

 東京商工会議所の観光委員会(委員長・田川博己副会頭=JTB相談役)は6日、「コロナ禍における東京の観光振興策に関する緊急提言」を取りまとめ、東京都に提出した。田川委員長は「東京の観光政策が前に進むことは、わが国の観光が前に進むことになる」と述べ、提言の実行を強く求めた。

 同日、田川委員長が都庁を訪れ、多羅尾光睦副知事に提言書を手渡した。提言は「緊急かつ最優先に取り組むべき事項」と「観光振興に向けて優先的に取り組むべき事項」「観光振興に向けて中長期的に取り組むべき事項」で成っており、会員事業者の「声」を盛り込んでいるのが大きな特徴だ。
提言はコロナ禍での観光振興について、比較的早期の回復が見込まれる日本人による域内観光、県境をまたぐ国内観光、その後アウト・インバウンド―と段階的に進める必要があると指摘、「シナリオを明確に示していくことが求められる」とした。

 また、感染拡大の長期化に備え「疾病対策予防センター(東京版CDC)」の早期整備や、コロナ収束後に迅速かつ正確な旅行安全宣言を発信することで、需要創造に向けた準備を整えるべきだとの考え方を示した。

 緊急かつ最優先に取り組むべき事項では、(1)観光関連産業の事業継続・経営力向上に向けた強力な支援の継続(2)PCR検査体制と医療提供体制の拡充(3)域内観光を通じた需要喚起に向けた取り組みの促進―など5項目を挙げ、実現を求めた。

 (1)では資金繰りや雇用維持、家賃負担軽減など強力な支援の継続を要望。事業者からは「オリンピックを目指し設備投資してきた企業にとってコロナのダメージは大きい。こうした企業に対するさらなる補助や助成も求めたい」と切実な声が挙がる。

 県境をまたがない近場への観光、いわゆる「域内観光」を提唱する動きが強まっているが、提言は「都内在住者を対象に、都内宿泊施設の利用や都内公共交通の運賃割引に対する補助制度の創設、域内観光を通じた需要喚起に向けた取り組みの早期実施」を主張した。

 優先的に取り組むべき事項として、(1)旅行者の地域・時期の分散化(2)企業活動における旅行の促進(3)国内旅行者をターゲットとした観光戦略―など四つの事項を挙げた。

 (3)については、「観光需要全体の8割以上を占める国内観光の振興に政策の重点を振り向けるべき」とし、▽都が所有・運営する観光施設の入場・利用料金の時限的無料化▽アクセシブル(ユニバーサル)ツーリズムの普及啓発▽人との接触が少ない自転車の通行空間や駐輪場の整備推進―などを主張。

 多羅尾副知事は、「想定外の事態」としながらも、「日本、東京は必ず復活する。ハード、ソフトをここで壊滅させてはならない。次のステージまで耐えていけるようにさまざまな施策を講じていかなければならない」と強い決意を示した。

多羅尾副知事(右)に提言書を手渡す田川委員長=6日、都庁で

 

 
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