東商、都に観光政策を意見~宿泊施設の金融支援拡充、民泊「健全な普及」を強調


東京都の川澄副知事(右)に意見書を手渡す佐々木観光委員長

 東京商工会議所はこのほど開いた常議員会で、観光委員会(委員長・佐々木隆副会頭=JTB相談役)がとりまとめた「東京の観光振興策に関する意見」を決議した。意見書は佐々木委員長が都の川澄俊文副知事に提出、意見内容の実現を求めた。

 意見書は東京の観光振興に対する基本的な考え方として、(1)2020年東京五輪・パラリンピックは世界に東京の魅力をPRする絶好の機会であり、観光資源の磨き上げやインフラ整備を加速する必要がある(2)日本各地との連携を強化し、観光振興の効果を全国へ波及させることが重要―など4項目を示した。

 その上で、今後の観光施策について、▽消費拡大に向けた観光経営▽観光都市・東京のさらなる魅力向上▽魅力の発信・効果的な誘致活動の展開▽全ての旅行者に快適な受け入れ環境の整備―に取り組むべきだと提言した。

 消費拡大に向けた観光経営では、宿泊施設の充実と多様化を指摘。東京を訪れる外国人の急増で宿泊施設不足が問題となっていることから、新設・更新に対する民間投資を促進するため、税制上の優遇措置や地域活性化ファンドの活用、公的融資制度の充実など、金融上の支援措置の拡充を求めた。

 また、旅館については「情緒や歴史ある施設そのものが観光資源」とし、イメージアップに向けたブランド化の取り組みやFITに向けた情報発信の強化を進めていくことが必要との考えを示した。無料公衆無線LANの設置や泊食分離料金の導入、カード決済への対応―など、イノベーションに積極的に取り組む事業者への重点支援も求めた。

 一方、民泊については、「宿泊施設の不足などを背景に滞在型観光が進まない地域や、農林漁村体験、田舎生活体験が可能な地域にも有効な取り組み」と理解を示した上で、民泊新法に基づき、衛生・安全の確保と観光の促進を両立させる「健全な民泊サービスの普及を官民一体となって進める必要がある」と強調している。

 東京のさらなる魅力向上では、電線類の地中化や無電柱化、自転車走行空間の整備とシェアサイクルの利用促進など、観光の視点に立ったまちづくりを進めると共に、歴史的建造物の活用促進、文化芸術の集積を生かす環境整備の促進などに力を入れるよう求めた。

 東京都の観光産業振興実行プランによると、20年の目標は訪都外国人旅行者が2500万人、外国人リピーターが1500万人、消費額2・7兆円などとなっている。

 

 
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