体験型観光、観光まちづくり、着地型観光といった新しい観光が注目されている。だが、地域活性化手段として全国に広がってきてはいるが、受け入れ態勢作りが面倒、収益性が低い、集客が難しい、などの点からその取り組みが思うように進んでいない地域も多い。
新しい観光の姿を総体的に明らかにしようとするのが本書だ。戸惑う地域が求めている「地域づくりの技術」と「集客の技術」を詳しく説明した。
その前段では、新しい観光の全体像と進むべき道、従来の観光とは異なる目的と意味、すなわち新しい観光の考え方を示す。著者が「理念」と言い表すこの考え方を地域が持つことが必要で、「理念なくして、観光の戦略的な振興もありえないし、持続的な集客もない」と言い切る。
著者の大澤健氏は和歌山大学経済学部准教授で経済学の博士。和歌山県を中心として、観光による地域活性化について研究を行う。本紙コラム「地域を興す担い手づくり最前線」も執筆中。
発行は角川学芸出版。定価は1500円(税別)。