有馬温泉の兵衛向陽閣大女将、風早笙子さんの半生がつづられた自叙伝「私の青春と戦争 女将六十年」が自費出版された。
兵衛向陽閣は約600年の歴史ある老舗旅館。風早笙子さんは昨年秋に黄綬褒章を受章。
執筆のきっかけは終戦記念日にテレビから流れた石原都知事の「戦争体験者が当時の出来事、その時の思いを書き残すことが大切なことだ」という言葉を聞いたこと。
自身の戦争体験を主に、学徒出陣で戦地へ向かう若者たちを見送ったこと、夫の喜一氏(先代社長・故人)が航空隊に所属していた頃のエピソードなどが書かれ、笙子さんが感じた戦争の悲しさを伝える。
後半は笙子さんが兵衛向陽閣に嫁いでから現在に至るまでの奮闘記。嫁いだ当時の有馬の様子、女将の心得を学んだ出来事、従業員への感謝が綴られている。また、昭和43年の有馬の大火災や、平成7年の阪神・淡路大震災の体験についても記されている。
「走馬灯のように過ぎて来た60年」と笙子さんは振り返る。女将さん必読の一冊となっている。
A4判ハードカバー。表紙は水彩画家の橋本良江さんが描いた。86ページ。数量制限あり。定価は1千円(税込み)。送料は別途。
問い合わせは、兵衛向陽閣(TEL078・904・0501)。