
星野氏
星野リゾート(長野県軽井沢町)は10月12日、YouTube配信でプレス発表会「星野リゾートLIVE2023秋」を行った。星野佳路代表は従来のアウトバウンド需要の国内旅行へのシフトチェンジに触れ、オーバーツーリズム解消への提言などを行った。
星野氏はコロナ禍収束期を迎えながらも、コロナ禍で消失したアウトバウンドの戻りがインバウンドと比べて遅い点に言及。(1)為替相場が円安で推移している点(2)海外のインフレが長く続いた点―などから、実質実行為替レート指数をもとにすると「1980年代よりも現在の方が、海外旅行が高く感じる」と述べた。
星野氏は「この傾向がしばらく続く」とした上で、「海外旅行をしていた日本人観光客が、円安で国内旅行へとシフトしている。この需要を取り込んでいくことが、日本の観光にとって大事なテーマだ」との展望を示した。
星野氏は、オーバーツーリズムの課題と、以前から提唱している「ステークホルダーツーリズム」に関しても解説。前者について、「単日の問題ではなく、長期的に満足度が低下して観光地のイメージやブランド力が下がり、集客数が減少する」と懸念を示し、過去の同日、同期間比で集客数などの数値を近視眼的に捉えると、長期間視点では重要な顧客を失っていく点を憂慮した。その解決に向けた一案として、星野氏は旅行者、観光事業者、地域コミュニティの各利害関係者がともに公平なリターンを得られるステークホルダーツーリズムの重要性を解説した。
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