日本観光旅館連盟(近兼孝休会長)は2月22日、東京・有明の東京ビックサイトで開催された国際ホテル・レストラン・ショーの中で、自然環境や地球の温暖化防止に配慮した旅館・ホテル経営を考えるセミナー「地球に優しい宿をめざして」を開いた=写真。会員施設3軒がエコや地産地消をテーマにした取り組みを発表した。
葉渡莉(石川県加賀市)の萬谷浩幸専務、常盤館(長野県小諸市)の花岡隆社長、ヴィラ・イナワシロ(福島県猪苗代町)の山田慎一社長が自館での実践例を紹介した。
葉渡莉は、使い捨ての割りばしを削減するマイはし運動に取り組む。売店で購入したはしを使うと、はしの価格の半分を環境保全団体WWF(世界自然保護基金)に寄付。持参のはしや宿が貸し出すはしの場合は、宿泊料金から1人100円をWWFに寄付する。割りばしも用意しているが、マイはし運動への参加も増え、寄付の合計は2年間で約20万円になったという。
葉渡莉の萬谷専務は「環境に対する問題意識をお客さまと共有したいと考えた。反響は予想以上に大きかった。強制ではなくお客さまの意志で参加してもらうこと、環境保全団体への寄付という形にしたことが理解を得られたポイント」と説明した。
常盤館は、薪焚ボイラーの導入によるCO2削減に向けた成果や課題を解説。ヴィラ・イナワシロは、地場産の食材を使う地産地消の食を通じた取り組みを紹介した。
日観連は2008年に「地球に優しい宿推進委員会」を設置し、旅館・ホテルが取り組むエコな事業について検討を重ねている。