日本観光振興協会(西田厚聰会長、701会員)は12日、東京都港区の東京プリンスホテルで今年度通常総会を開催した。総会では、協会が公益性のある事業を行っていることから「公益社団法人」への移行を進めるほか、昨年東日本大震災の影響で中止した「旅フェア」を11月に都内で実施することなどを決めた。
総会には会員ら約300人が出席。冒頭あいさつした西田会長は「震災から1年経ったが、国内旅行需要は地域や業種により完全に回復していない」と観光業全体の厳しさを指摘、「正確な情報発信を行い、確実な復活につなげたい」と強調。
来賓の井手憲文・観光庁長官も祝辞で、観光業底上げのため、官民一体の取り組みの重要性を強調した。
協会の法人格については、来年度から現在の「社団法人」を「公益社団法人」に移行する方針が承認された。
公益社団法人は、公益認定法に基づく法人格で、同法が掲げる「地域社会の健全な発展を目的とする事業」に、協会の観光振興事業が合致していることで、社会的評価が高まることが期待される。さらに税制上の優遇措置も適用される。
法人格移行に伴い、定款変更も承認された。大きな変更点は役員体制。移行後の理事は理事会への代理出席が認められないため、現理事は理事会に出席義務のある「理事」と代理出席可能な「評議役員」に分離した。さらに、専務理事を「副理事長」とし、理事長補佐の立場を明確にした。
任期満了に伴い、新役員の選考も行われた。吉田正嗣理事長は退任し、後任に、見並陽一・JR東日本常務が就任、専務理事(定款変更後は副理事長)には齋藤芳夫・日本海事センター常務理事が就いた。
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新任役員は次の通り。
【副会長】石渡恒夫(京浜急行電鉄社長)▽大西賢(日本航空会長)
【理事長】見並陽一(JR東日本常務)
【専務理事=定款変更後は副理事長】齋藤芳夫(日本海事センター常務理事)
【常務理事】野口英明(委員会事務局担当)
【理事】石川邦大(トップツアー社長)▽尾川欣司(国際観光日本レストラン協会会長)▽奥義光(東京地下鉄社長)▽河野英雄(名古屋鉄道会長)▽角和夫(阪急阪神ホールディングス社長)▽出口秀巳(JR東日本執行役員八王子支社長)▽徳永雅典(全国旅行業協会副会長)▽中島都志明(休暇村協会常務理事)▽廣川允彦(日本温泉協会会長)▽不川智詞(全日本シティホテル連盟会長)▽松山良一(国際観光振興機構理事長)
【監事】佐々木信幸(ジェイアール東日本企画社長)=敬称略
公益法人への移行を決めた総会