本物の提供が非日常感生む
――現在の取り組みについて。
「約2年前の朝日旅行の解散による事務局体制の変更に伴い法人化した。自らで体制を構築し、会の理念の下、新たな会員の募集のほか、ウェブ事業、スタンプ事業などを推進している」
――源泉の在り方について伺いたい。
「源泉は、古くは療養のために使用されるなど、歴史をたどると深く、日本の温泉文化の一つとして、守られてきたもの。現在は、利用方法として、加水、循環などの手法を採用する宿もあるが、規模が大きくなればなるほど、お客さま一人一人に対して適正な量を使用しているかは疑問である。私が源泉湯宿の部会に入った際には、温泉入浴剤による疑惑があったことも今でも強く覚えている。われわれは、自然に地下から湧き上がる貴重な源泉を適正な方法で利用者に提供している。役割を担いながら、適正な量の提供、共生するための方法を日々研究している。本物を提供し、効果、効能など源泉の情報を明確にすることは、非日常を提供することにつながる。これは温泉を楽しみたいと宿に訪れる消費者との約束でもある」
――親会に「日本温泉文化を守る会」がある意味とは。
「システムへの投資など、会単独では厳しいものも、親会、そして3部会による協力で不可能が可能になる。また、相談、情報交換ができる協力体制など、強固な絆に心強さを感じている」
――今後の会の運営について。
「まず、温泉に愛着を持ち、適切に管理すること。維持、管理が雑になれば、源泉はすぐに使い物にならなくなる。昨今は、大型の豪雨、地震の影響で配管が壊れるなど、被害を受けたという話も増えている。われわれは、温泉があるからこそ商売ができている。今後に備え、今まで以上に準備、対応をしっかり行っていく。源泉、温泉の大切さを伝えながら、次世代につなぐことは、源泉の湯守としての果たすべき責任である」
――読者に一言を。
「全ての会の名前に『守る』の言葉が付く。おのおのの良さを守ることが、快適さや利便性の向上、そして日本文化そのものを守ることにつながる。われわれは、大事なものを守ることが唯一の役目。皆さまにもこの価値、特色を知っていただきながら、ぜひ各宿にも訪れてもらいたい」
日本源泉湯宿を守る会 会長(新潟・清津館)桑原 清氏