
バリアフリーを語る山崎まゆみ氏
日本旅館国際女将会(長坂正惠会長、事務局・観光経済新聞社内)は6日、3月定例会を東京都台東区の水月ホテル鷗外荘で開いた。会員の女将ら36人が出席した。
定例会恒例の勉強会では、温泉エッセイスト・ノンフィクション作家の山崎まゆみ氏が「これからの日本旅館のあり方」と題して講演した。
これまでに世界32カ国の温泉を巡った山崎氏は、画像を交えながら各国の温泉事情や取材旅行中のエピソードを紹介。「(日本人の自分にとって)やはり日本の温泉が一番と感じている」と話した。
ビジット・ジャパン大使であり、内閣官房「ユニバーサルデザイン2020関係府省連絡会議 街づくり分科会」や観光庁「ユニバーサルツーリズム促進 宿泊施設の情報発信に係る検討部会委員」などにも参画している山崎氏は、「温泉地へのインバウンド誘客と『バリアフリー温泉』の推進にライフワークとして取り組んでいる」と述べた。その上で「高齢の方の観光の一番の目的は温泉。ただ70代以上になり、体が弱ってくると、一人での入浴が困難になり、温泉だけでなく、観光を控えてしまう傾向がある」と指摘した。
その解決策の一つとして、「家族旅行・親孝行温泉」のさらなる普及を提案。「温泉とは皆で一緒に、世代を超えて楽しめる場所」と強調した。
宿泊施設がバリアフリー化に取り組む際に意識すべきこととしては、(1)行きたいと思わせるデザイン(バリアフリーをバリアフリーと見せないデザイン)(2)宿の形状・バリアの見える化(3)あるとうれしい補助器具(4)声掛け―の4点を挙げた。「行きたいのは『ハートフル旅館』。これがバリアレスへの第一歩」と述べて、ハードの前に“ハート”の準備が必要とした。
バリアフリーを語る山崎まゆみ氏