日本旅館協会、資金需要の意識共有へ金融機関との懇談会開催


行政も参加し意見交換

 日本旅館協会(浜野浩二会長)は1日、ビジョンセンター東京八重洲南口で「地域別金融機関との懇談会」を開いた。行政機関、政府系金融機関や民間の金融機関の代表者が参加し、会員施設に対してコロナ禍の宿泊業支援の取り組みや資本性劣後ローンの説明などを行った。会員施設を対象とした資金需要の実情に関するアンケート結果も発表した。

 懇談会は、同協会と会員施設、金融機関と行政機関間での資金需要に関する意識の共有などを目的に開催された。出席した金融機関は、新型コロナウイルス感染症関連融資の状況を報告し、10月末時点でリーマンショック時や東日本大震災時を超える水準の融資申し込み数に達している現状を述べた。資本性劣後ローンの制度概要の解説も行い、実際の融資事例などを踏まえた同ローンの具体的な活用法も示した。会員施設と金融機関、行政機関を交えた意見交換の時間では、会員から「融資をお願いする際に、エビデンスに基づいた将来計画の提出が求められるが、先行きが見えないため提出は難しい。政府系金融機関として統一的な数値目標を示してほしい」「政府系金融機関と各民間金融機関の協調が整わないとの意見が寄せられているので、協調体制を築いてほしい」などの要望が挙がった。

 同協会の新型コロナウイルス対策本部がまとめた資金需要の実情に関するアンケート結果も併せて発表した。回答施設数は364軒。約9割に当たる331軒がコロナに起因する融資を受けたと回答。多くの施設が融資協議は順調に進んだと回答したが、「審査資料提出後の資料追加や説明が多い」「融資実行までの時間が長い」「先行きが不透明な中で売り上げ改善の根拠を示す資料の提出を求められた」「災害被害における損害保険外の未払い修繕費用、延滞消費税、延滞社会保険料などについての支払い確証のエビデンスを要求された」などの理由で、融資実行が難航した施設も見られた。11月以降の追加融資を検討している施設は約半数の178軒にのぼり、先行きに不安感を募らせ追加融資を検討している施設が多い実情が明らかになった。

 詳細回答を寄せた100軒を対象に、資本性劣後ローンに関する調査を行ったところ、同ローンを知っていた施設は66軒だった。知らなかったと回答した34軒に同ローンの活用を検討しているか尋ねたところ、15軒が検討したいと回答した。同ローンに関して、「月々の返済が不要、自由な資金使途、借入金として扱われないなど、資金繰りの安定化のために非常に使いやすい資金だと思う」「インバウンドを含むコロナからの回復まで36カ月かかると計画し、中期3カ年計画を提出したが難しいと判断された。数値目標は暫定目標を使うほかなく、計画の妥当性で判断されても困る」などの声が挙がった。

 同協会は今月、同様の懇談会を各地で開催予定。今後の日程は、14日東北エリア(午後2時、仙台第4合同庁舎2階大会議室)、15日四国エリア(午後1時半、高松サンポート合同庁舎南館101大会議室)、16日北陸エリア(午後1時半、金沢新神田合同庁舎8階大会議室)、18日近畿エリア(午後2時、大阪コロナホテル「別館2階 200ABC」)。

 
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