日本旅行業協会、観光庁に「訪日旅行の持続可能な発展に向けた提言書」提出


 日本旅行業協会(JATA)の訪日旅行推進委員会(堀坂明弘委員長)は3月13日、国土交通省観光庁に「訪日旅行の持続可能な発展に向けた提言書」を提出した。提言書は2014年以降6回目。今回は訪日旅行の20年に向けた取り組みと21年以降の持続可能な発展に向けての課題などについてとりまとめた。

 観光庁では観光立国の実現に向けて「観光ビジョン実現プログラム2019」を策定中。JATAは、今後の施策に反映してもらうため、今回の提言書では「安心安全の確保」「訪日旅行のアップグレード」「受け入れ体制整備、人財育成」の3テーマで具体的な課題を示している。

 安心安全の確保については、自然災害の発生頻度が高まり、過去になかったような規模の被害が生じた場合に備える取り組みを強化すべきだと訴えた。具体的には、宿泊施設の被害状況を自治体、旅行会社、旅行者が一元的に把握できるシステムや、「ふっこう割」など行政による復興支援策を迅速、効率的に講じるためのスキームの構築などを提言している。

 増加しているFIT旅行者に対して、利便性の向上を図るだけでなく、快適に不安を感じることなく旅行を楽しめる取り組みや、事故やケガなど不測の事態を回避できる環境整備の必要性も指摘する。具体的には、交番での多言語対応や交番を案内するアプリの開発などによって交番の利用を促すことを提案する。

 訪日旅行のアップグレードでは、体験プログラムやユニークベニューの拡充を妨げている阻害要因の解消や、対外プロモーションでの2020年東京オリンピック・パラリンピックなどビッグイベントの活用などを求めている。日本をまだ販売していない海外の旅行会社をからめて対外プロモーションを実施することも提言した。

 目標とする2020年に4千万人、30年に6千万人の訪日旅行者を受け入れていくためには、受け入れ体制を整備し、まだ十分でない地方への訪問の拡大を図るべきだと主張。併せて、受け入れ体制の整備や地域振興を担う人財の育成も急務だと指摘している。

 
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