日本宿泊産業マネジメント技能協会、第2回無料オンライン・マネジメント講座「宿泊施設における危機管理の考え方~震災発生時の対応について~」開催


満野氏

 国家検定試験「ホテル・マネジメント技能検定試験」を運営する日本宿泊産業マネジメント技能協会(JLM、作古貞義理事長)18日、第2回無料オンライン・マネジメント講座「宿泊施設における危機管理の考え方~震災発生時の対応について~」を開催した。講師は、日本ホテル協会前事務局長、帝京大学・短期大学前教授で同協会副理事長の満野順一郎氏が務めた。

 満野氏は「震災は日本国土の地理的特性」と指摘。その上で「首都圏直下型大型震災の阪神淡路大震災、地震による津波で甚大被害を受けた東日本大震災、地方都市・農村地域での被害発生と救難可能性の課題が浮き彫りになった熊本地震では、それぞれに被害の特性や対策諸条件の変化が見られる」と話した。

 クライシスマネジメントとリスクマネジメントの違いも説明。「クライシスマネジメントとは、危機的状況はいつか必ず発生するものという前提に基づき、組織や設備等が機能不全に陥るという考え方に基づく対応手段と仕組みのこと。リスクマネジメントとは、危機的状況により想定されるリスクを事前に分析・把握し、リスク発生による損害や損失を最低限に抑える管理手段と、仕組み損失や損害等の回避を目的とした管理システムで、リスクを最小限に抑えるための管理手法」と解説した。

 また、震災発生直後の震災対応組織と行動・対応を具体的に紹介。震災対応組織のあり方については、(1)震災後当面の間は当該宿泊施設内の避難・復旧活動が落ち着くまでできる限り組織の改変を行わないこと(2)震災発生直後の人材支援・物資補充の可能性が全く無いか低いことを想定して行動すること―とした。

 宿泊施設としての発災後の顧客対応については、「宿泊施設としてのお客さまへのビジネスとしてのサービス提供は震災発生時まで。大型震災発災時以降、宿泊施設では館内のお客さまに対し、『お客さま』としての意識はあるが、『自助・共助・公助』の立場から、お客さまの理解と協力を頂きながら館内安全を保ち、施設からのお客さまの避難等の後に被害回復作業を開始すべき。また発災時に大きな被害を受けた宿泊施設では、通常時と同じレベルの安全基準が満たされていない可能性が高いことを館内滞在者は十分に理解しておく必要がある。被災地域全体での被害がある程度まで回復されない限り、外部からの避難者等を安全に受け入れることは難しい」と述べた。

 災害復旧関係者の受け入れについては、「震災被害中心地では被害確認後、一日も早く復旧作業に取りかかる必要がある。被災した宿泊施設においても、最低限の安全確認後には災害復旧関係者への宿泊施設の提供など災害の復旧に尽力することが、自社と地域の復興につながることになる」と強調した。


満野氏

 
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